2月28日、米国はイスラエルと共同でイランの核施設や軍事拠点を標的とする軍事攻撃を開始した。この作戦でイランの最高指導者ハメネイ師が死亡。指導者を失ったイランが内部崩壊し、短期決戦で勝利を収めるというシナリオをトランプ政権は描いていた。
しかし現実はまったく異なる展開となった。イランではハメネイ師の息子モジュタバが後継者に就任し、革命政権は継続している。更に、イランは即座に湾岸諸国や域内の米軍施設への報復攻撃を行い、世界の海上石油貿易の約4分の1が通過するホルムズ海峡の封鎖にまで踏み切った。想定以上の反撃能力を持つイランはホルムズ海峡という強力な切り札を最大限に活用し、耐久戦に持ち込む構えを見せる。
短期で終わるはずの戦争だったが、3カ月近く経っても戦闘終結に向けた出口が見えない。停戦合意に向けた交渉が難航する最大の理由は双方の要求の根本的な対立にある。米国はイランに対して核開発の即時停止と高濃縮ウランの引き渡しを求める一方、イランは今後攻撃を行わないことの保証や制裁及び資産凍結の解除などを主張する。ホルムズ海峡の管理をめぐっても立場の隔たりは大きい。
この膠着状態はじわじわと世界経済全体に悪影響をもたらしている。原油価格の高騰をはじめとするエネルギー価格の上昇に加え、石油製品や肥料などの供給不足が深刻化している。解決の糸口が見られないまま、トランプ大統領は5月中旬に北京を訪問し、習近平国家主席と首脳会談を行った。新たな枠組みとして建設的戦略安定関係の構築に合意し、今後の対話の機会も組まれた。商業面ではテック業界など米国の代表的な企業のCEOが同行し、輸出拡大や経済的な関係強化を演出した。一方、イラン戦争を抱えたまま対中関係でも緊張を高め続けることは現実的ではなく、利害対立のある分野は先送りされたとみることが出来る。


























































