米国の対内直接投資において、2013年に日本が国別の投資額で21年ぶりに首位に立った。その後2015年までの3年間の平均投資額は378億ドルに達し、国別ではルクセンブルクに次ぐ2位になっている。ルクセンブルクは税優遇措置を利用した世界の大手企業による投資が多いため、自国企業の投資では日本が首位を維持していると見てよいだろう。日本からの直接投資残高も2014年末で3728億ドル、国別では米国と「特別な関係」にある英国に次ぐ2位である。
一方で、日本の米国への輸出は停滞が続いている。ドル建て輸出額や輸出数量、米国の日本からの輸入額いずれも2013年から3年連続の減少である。しかも輸入額は1995年から20年間で6%しか増えておらず、長期衰退に近い推移になっている。この間に米国の世界からの輸入額は3倍に膨らみ、日本のシェアは17%から6%へ激減した。1980年代後半には日本が米国の最大の輸入相手国だったが、今では中国、メキシコ、カナダに大差をつけられての4位である。
日本からみた日米経済関係においては、目立つのは対米輸出の停滞だろう。主な原因がかつては主力輸出品だったコンピューターや電話機などのIT関連製品、テレビなどのエレクトロニクス製品が消えたことであり、それが競争力の著しい低下として日本でも深刻な問題になっているからである。これに比べれば、最近の対米直接投資の多さは意外に見えるのではないか。緩やかな景気拡大にとどまる米国が魅力的な投資先には見えにくいし、当面の日本への効果も明確でないからである。