体制
体制
丸紅は、多岐にわたるビジネスをグローバルに展開しており、経営における「意思決定の迅速性・効率性」および「適正な監督機能」を確保するべく、現在のガバナンス体制を社内取締役および社外取締役で構成される取締役会を置く監査役設置会社としており、次の(a)と(b)の通り有効に機能していると判断されることから、現在のガバナンス体制を継続して採用します。
(a)意思決定の迅速性・効率性
丸紅の多角的な事業活動に精通した執行役員を兼務している取締役を置くことにより、意思決定の迅速性・効率性を確保しています。
(b)適正な監督機能
取締役会構成員の1/3以上の社外取締役の選任、監査役室の設置、監査役と監査部および会計監査人との連携、社外取締役および社外監査役に対して取締役会付議事項の事前説明を同一機会に実施する等の諸施策を講じることにより、適正な監督機能を確保しています。
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取締役会
取締役会は、取締役11名(うち社外取締役5名。男性10名・女性1名、取締役会に占める女性の割合9%)をもって構成し、丸紅の経営方針その他重要事項を決定するとともに、取締役の職務の執行を監督しています。
なお、経営と執行をより明確に分離するため、原則として代表権・業務執行権限を有さない取締役会長が取締役会の議長を務めています。
経営責任を明確にするとともに、経営環境の変化に対応して最適な経営体制を機動的に構築するため、取締役の任期は1年としています。
監査役会
監査役会は、監査役5名(うち社外監査役3名)をもって構成しています。丸紅は監査役制度を採用しており、各監査役は、監査役会で策定された監査方針および監査計画に基づき、取締役会をはじめとする重要な会議への出席や、業務および財産の状況調査を通じて、取締役の職務執行を監査しています。
監査役と会計監査人とは、毎月開催のミーティングにおいて情報交換を行う等して相互の監査状況の把握に努めています。なお、2020年度における丸紅の会計監査人はEY新日本有限責任監査法人です。監査役と内部監査部門である監査部は毎月開催のミーティングにおいて意見交換を行い、密接に連携しながら、監査業務を行っています。2020年度は監査役会を16回開催し、全監査役が、在任中に開催された監査役会全てに出席しております。
社長は定期的に監査役とのミーティングを開催し、業務の執行状況について報告し、意見交換を行っています。その他の取締役、グループCEO、本部長およびコーポレートスタッフグループ部長は、毎年監査役に対し、業務執行状況報告を行っています。役員は、丸紅に著しい損害を及ぼすおそれがある事実を発見したときは直ちに監査役に報告を行います。
経営会議
経営会議は、社長の諮問会議として設置され、社長を含む代表取締役4名、副社長執行役員1名、専務執行役員1名、常務執行役員3名をもって構成し、経営に関する重要事項を審議しています。
本部長会
本部長会は、社長、代表取締役、本部長および社長の指名する統括、総代表、支配人をもって構成し、予算・決算・資金計画に関する事項、その他業務執行に関する事項を審議しています。
執行役員会
執行役員会は、執行役員37名(うち4名取締役兼務)をもって構成し、社長の方針示達および情報連絡ならびに決算報告、内部監査報告等業務執行に係る事項の報告を行っています。
指名委員会
取締役会の諮問機関として社外役員が過半数のメンバーで構成される指名委員会にて、取締役、監査役候補の選任案、次期社長選任案、ならびに社長が策定・運用する後継者計画(必要な資質・要件、後継者候補群、育成計画を含む)について審議、取締役会に答申します。
委員:社内取締役 1名、社外取締役 3名
委員長:社外取締役
ガバナンス・報酬委員会
取締役会の諮問機関として社外役員が過半数のメンバーで構成されるガバナンス・報酬委員会にて、取締役・執行役員の報酬決定方針や報酬水準の妥当性を審議、取締役会に答申します。また、取締役会の構成や運営等、取締役会全体に関する評価・レビューを行い、取締役会に報告します。
委員:社内取締役 2名、社外取締役 2名、社外監査役 2名
委員長:社外取締役
コーポレート・ガバナンス概要
組織形態 | 監査役設置会社 |
---|---|
取締役会議長 | 会長 |
取締役人数(うち社外役員※) | 11名(5名) |
監査役人数(うち社外役員※) | 5名(3名) |
丸紅は社外役員全員を、株式会社東京証券取引所が定める独立役員として指定しています。
2020年度:主要会議体の開催状況
取締役会 | 18回 |
---|---|
監査役会 | 16回 |
経営会議 | 40回 |
本部長会 | 3回 |
執行役員会 | 3回 |
各種委員会の機能と役割
コーポレート・ガバナンスの強化を目的として、各種委員会を設置しています。
主な委員会とその役割は以下のとおりです。
委員会 | 役割 | 委員長 | 開催頻度 |
---|---|---|---|
投融資委員会 |
稟議案件の審議を行う。 投融資委員会委員長は、委員会の審議を経て経営会議体に付議すべき案件を決定する。 |
代表取締役常務執行役員 (古谷 孝之) |
原則週1回開催 |
コンプライアンス委員会 | 丸紅グループにおけるコンプライアンス体制の構築・維持・管理および コンプライアンスの実践についての支援・指導を行う。 |
代表取締役専務執行役員 (石附 武積) |
原則年4回開催、 その他随時開催 |
サステナビリティ推進委員会 | 事業領域全般からESG(環境価値・社会価値・ガバナンス)視点も考慮した「マテリアリティ」の特定・見直し、ならびにESG対応を含むサステナビリティに関連する事項を行う。 | 代表取締役常務執行役員 (古谷 孝之) |
原則年1回開催、 その他随時開催 |
内部統制委員会 | 会社法上の内部統制の基本方針の構築・運用状況の確認ならびに見直し・改正案の作成、 金融商品取引法上の財務報告に係る内部統制の体制整備・運用・有効性評価ならびに 内部統制報告書案の作成等を行う。 |
代表取締役専務執行役員 (石附 武積) |
随時開催 |
開示委員会 | 開示に関する原則・基本方針案の策定、法定開示・適時開示に関する社内体制の構築・整備、 および法定開示・適時開示に関する重要性・妥当性の判断を行う。 |
代表取締役常務執行役員 (古谷 孝之) |
随時開催 |
社外取締役と社外監査役の機能と役割
社外取締役の機能と役割
社外取締役は、幅広い経験と高い見地から経営について意見を述べるとともに、コーポレート・ガバナンスをより充実させるためのアドバイスを行っています。
社外取締役は、取締役会と執行役員会に出席し、内部統制の観点から積極的に発言しています。また、社外取締役の取締役会等への出席にあたっては、事前に経営課題、執行状況、討議内容等についてのブリーフィングを行っています。なお、指名委員会は社外取締役を委員長として社外取締役3名がメンバーであり、ガバナンス・報酬委員会は社外取締役を委員長として社外取締役2名がメンバーとなっています。
※選任理由については [コーポレートガバナンス報告書]をご覧ください。
社外監査役の機能と役割
社外監査役は、取締役の職務執行を監査するとともに、これまでの豊富な経験を活かした種々の提言やアドバイスにより、監査役監査のさらなる充実につなげています。
社外監査役は、監査役会、取締役会、執行役員会に出席するとともに、定期的に社長とのミーティングを行っています。また、監査部、経理部、会計監査人等、実務者とのミーティングを設け議論を交わす一方、常勤監査役からの監査関連情報等の提供を受け、監査業務に活かしています。なお、ガバナンス・報酬委員会は社外監査役2名がメンバーとなっています。
※選任理由については [コーポレートガバナンス報告書]をご覧ください。
役員報酬
役員の報酬等の額またはその算出方法の決定に関する方針の内容および決定方法は次の通りです。
取締役および監査役の報酬については、株主総会の決議により、取締役全員および監査役全員のそれぞれの報酬総額の限度額が決定されます。取締役の報酬については、社外役員が過半数のメンバーで構成されるガバナンス・報酬委員会にて報酬決定方針や報酬水準の妥当性を審議、取締役会に答申し、報酬額は取締役会の決議を経て決定します。監査役の報酬額は、監査役の協議により決定します。
社外取締役を除く取締役の報酬は、各取締役の役位に応じた固定額の基本報酬と、前事業年度における連結業績に連動した業績連動報酬、加算給と個人評価給および時価総額条件付株式報酬型ストックオプションから構成されます。基本報酬と業績連動報酬の合計額の80%相当額を現金で支給し、同20%相当額を株式報酬型ストックオプションとして支給しています。株式報酬型ストックオプションは、株価変動のメリットとリスクを株主の皆様と共有し、株価上昇および企業価値向上への貢献意欲を従来以上に高める目的で導入しています。また2019年度から、将来的な時価総額向上へのインセンティブを高める事を目的に、時価総額条件付の株式報酬型ストックオプションを新たに導入しました。また、業務執行から独立した立場である社外取締役および監査役の報酬については固定額の基本報酬のみで構成され、業績連動制はありません。
2019年度における取締役および監査役への報酬等の総額
・取締役(社外取締役を除く) 7人 報酬等の総額 804百万円
・監査役(社外監査役を除く) 3人 報酬等の総額 87百万円
・社外役員 7人 報酬等の総額 106百万円
- 金額は、百万円未満を四捨五入しています
- 株主総会決議による役員報酬限度額は、「取締役分年額1,100百万円以内(うち社外取締役分120百万円以内)」(2020年6月19日開催の第96回定時株主総会決議、当該定めに係る役員11名(うち社外取締役5名))および「監査役分月額12百万円」(2012年6月22日開催の第88回定時株主総会決議、当該定めに係る役員5名)ならびに株式報酬型ストックオプション「取締役(社外取締役を除く)分年額220百万円以内」(2016年6月24日開催の第92回定時株主総会決議、当該定めに係る役員6名)です。
- 丸紅は、2007年6月22日開催の第83回定時株主総会終結の時をもって退職慰労金制度を廃止し、退職慰労金を制度廃止に伴い打切り支給する旨決議しています。丸紅は、当該決議に基づき、当該打切り支給の対象となる取締役および監査役に対し、取締役については、取締役または執行役員を退任するいずれか遅い時、監査役については、監査役を退任する時に退職慰労金を支給することとしています。打切り支給対象の取締役および監査役の中で、2019年度において役員が受けた退職慰労金は13百万円です。
2019年度における報酬等の総額が1億円以上である者の報酬等の額
・國分取締役 総額162百万円(現金報酬126百万円、株式報酬型ストックオプション36百万円)
・柿木取締役 総額201百万円(現金報酬153百万円、株式報酬型ストックオプション48百万円)
・松村取締役 総額127百万円(現金報酬97百万円、株式報酬型ストックオプション30百万円)
・矢部取締役 総額103百万円(現金報酬83百万円、株式報酬型ストックオプション20百万円)
取締役会の実効性評価
取締役会の実効性評価については、独立社外役員が過半数のメンバーで構成されるガバナンス・報酬委員会において、取締役会の構成や運営等、取締役会全体に関する評価・レビューを行い、取締役会へ報告しています。その上で、取締役会における審議を踏まえ、評価結果の概要を開示するとともに、取締役会の運営等の改善に活用しています。
2020年度における取締役会の実効性評価においては、従来のアンケートの実施に加え、より具体的な課題認識を引き出すことを目的に、全ての取締役及び監査役に対するインタビューを実施しました。
Ⅰ 評価の枠組み・手法
1.対象者
- 全ての取締役(11名)および監査役(5名)
2020年12月時点の現任
2.実施方法
- アンケート及びインタビュー(回答は匿名)
実施にあたっては外部専門機関を活用
3.評価項目
- (1)取締役会の役割・責務
- (2)取締役会と経営陣幹部の関係
- (3)取締役会等の機関設計・構成、取締役(会)の資質と知見
- (4)取締役会における審議
- (5)株主との関係・対話
- (6)株主以外のステークホルダーへの対応
- (7)全体・その他
4.評価プロセス
アンケート及びインタビューの各回答内容に基づいて、ガバナンス・報酬委員会における、取締役会の構成や運営等、取締役会全体に関する評価・レビューを踏まえ、取締役会において審議を実施しました。
Ⅱ 評価結果の概要
1. 概要
ガバナンス・報酬委員会での評価・レビューを踏まえ、取締役会として審議を行い、実効性のある取締役会の運営がされていることが確認されています。
特に、社外役員に対するサポートについては、教育機会や情報提供等が充実しており、取締役会の運営における議事進行についても社外役員が発言しやすい雰囲気である点が高く評価されました。また、取締役会での審議において各議題に対する審議時間が十分に確保できている点、並びに取締役会に対して適切な内容・頻度で経営執行に関する情報や課題が共有されている点についても、高く評価されました。
2. 2019年度に実施した取締役会実効性評価において確認された課題への対応状況
(1)中長期的な企業価値向上の観点から、経営方針に関する監督・モニタリングの強化
取締役会において、新型コロナウイルス禍の経営環境認識や中期経営戦略の基本方針の確認等について議論するとともに、取締役会以外のオープンな議論の場を設定して取締役会の監督・モニタリング機能強化等に関するフリーディスカッションを実施しました。アンケート及びインタビューにおいても当該項目は前年度と比べて改善しています。
(2)株主からの期待事項の取締役会へのフィードバックを踏まえた議論の充実化
取締役会において、社長及びIR担当であるCFOから機関投資家向けの決算説明会及びグループミーティング、個人投資家向けの説明会等を通じて得た株主からの期待事項やその対応方針・対応状況の報告を、適宜実施しました。アンケート及びインタビューにおいても当該項目は前年度と比べて改善しています。
また、2019年6月28日に経済産業省が公表したグループ・ガバナンス・システムに関する実務指針、並びに2020年7月31日に経済産業省が公表した社外取締役の在り方に関する実務指針及び事業再編実務指針について、丸紅のガバナンス体制と照らし合わせて、分析・検証を行い、ガバナンス向上に向けた対応方針を議論しました。
グループガバナンスに関しては、丸紅グループの経営方針の共有・浸透、丸紅と事業会社の役割・権限・責任の明確化等によるガバナンス強化を目的として、2017年4月に丸紅グループガバナンスポリシーを制定し、丸紅グループの企業価値の極大化と持続的成長に関する取組みを継続しておりますが、取締役会でのモニタリングを実施し、更なる浸透・実践を進めております。
3. 今年度の評価において確認された主な課題及び今後の取組み方針
(1)取締役会や自由討議を通じた重要な経営課題に対する議論の充実
取締役会での審議だけでなく取締役会以外の場を活用して中長期的な環境認識やリスク等に関するフリーディスカッションを実施する事等により、重要な経営課題に関する議論を更に充実させていきます。
(2)ステークホルダーへの対応方針(サステナビリティ推進及び株主・投資家からの期待事項への対応)に係る取締役会での議論
サステナビリティ推進委員会の報告に関する取締役会での議論や社内外のステークホルダーへの情報開示について、適切に取り組んでいる事が評価されています。また、「株主からの期待事項の取締役会へのフィードバックを踏まえた議論の充実化」については、前年度に確認された課題でしたが、2(2)に記載の通り、前年度と比べて改善しています。
今後より一層サステナビリティや、株主・投資家を始めとするステークホルダーの期待事項への対応の重要性が増していく事を考慮して、取締役会において中長期的視点での対応方針のアップデート及び執行に対するモニタリングを充実させる事で、更なる改善取組みを継続していきます。
(3)取締役会構成メンバーの多様性のあり方の議論
今年度も、取締役会以外の場において、取締役会の機能や取締役会メンバーの構成等にかかる議論を実施しました。引き続き、取締役会構成メンバーのスキルや経験の多様性にかかる方向性を議論するとともに、丸紅を取り巻く環境変化を踏まえた定期的な見直しを実施することで、取締役会構成メンバーのスキルや経験の最適な組み合わせを検討し、取締役会の機能の更なる強化をはかっていきます。
丸紅は、今回の取締役会実効性評価の結果を踏まえ、引き続き取締役会の実効性の維持・向上に取り組み、長期的な企業価値向上を追求していきます。