米国の成人の平均体重(2010年)は、男性が88.7キロ、女性が75.4キロと大きく肥満率も高い。米国の基準では肥満となるBMI※の数値が30以上の成人の割合は36%。世界的にも突出していてOECD諸国では最高である。BMIが25以上の過体重率は68%、日本の14%程度の5倍近い。しかも米国には、肥満の増大傾向が止まらないという大問題がある。平均体重は男女とも約半世紀前に比べて12キロ前後増え、肥満率は1960年代前半の13.4%から2.7倍に膨らんでいる。
なぜ米国人はこんなに太ってしまったのか。専門家は、一つの決定的な要因はなく、個々では無害のはずの変化が積み重なった結果であるという。はるか昔に低栄養を克服するために始まった食料供給の増加、生産性の高い食料生産を目指した技術革新などが進んで、安価でカロリーの高い食品が手軽に入手できるようになった。皮肉にも、そのために低所得層の肥満率は高くなりがちである。食料生産の技術に関しては、家畜への抗生物質などの投与が増えたことを懸念する声もある。一方で米国経済の発展と構造変化にともなって、労働時間が延びて女性の就業も増加したことから、カロリーの高いジャンク・フードで食事を済ませてしまう人の割合が増えたという指摘もある。その上に運動不足もある。肉体労働の減少、都市化の進展などから米国人の運動量は半世紀前に比べて3割近く減少したという。
Body Mass Index(肥満指数)の略。身長と体重から計算される。