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カナダにおける二酸化炭素回収・貯留事業の小規模操業開始について

2025年12月10日
丸紅株式会社

丸紅は、出資参画するBison Low Carbon Ventures Inc.(以下、「Bison社」)を通じて、カナダ・アルバータ州で推進する二酸化炭素回収・貯留(以下、「CCS」(※1))事業(Meadowbrook CCSプロジェクト。以下、「本プロジェクト」)における小規模操業を開始しました(以下、「本操業」)。本操業は、日本企業が携わるCCS事業において、外部企業から回収した二酸化炭素の地中貯留を有償で実施する初の事例となります。

本プロジェクトの二酸化炭素貯留設備
本プロジェクトの二酸化炭素貯留設備

背景
2050年のカーボンニュートラル社会の実現に向けて、CCSは操業プロセス上二酸化炭素排出削減が困難な産業における、脱炭素化の必須技術として位置づけられています。国際エネルギー機関(IEA)が公表しているWorld Energy Outlook 2025の公表政策シナリオにおいても、全世界の二酸化炭素回収量は2024年の43百万トンから、2035年には1.6億トン、2050年には3億トンと大幅に拡大することが見込まれています。

本件の特徴・意義
本プロジェクトの位置するアルバータ州は、石油・天然ガス資源に恵まれ工業が集積することから、二酸化炭素の排出が課題となっています。加えて、地層の適合性、規制の整備等の優位性から、世界有数のCCSハブ(※2)拠点として注目されており、2022年にCCSハブとしての適合性を評価するため、全25鉱区の調査鉱区入札が実施されました。Bison社はその内2鉱区を取得し、本プロジェクトは、その内の1鉱区で推進しているものです。本操業は、州内のDAC(※3)プラントから二酸化炭素を回収・輸送し、Bison社の貯留サイトで地中に圧入を行うもので、全25鉱区の中で初めて二酸化炭素の地中への圧入を実現しました。

本操業は、アルバータ州におけるCCSハブの実現可能性を立証する重要なマイルストーンであり、今後二酸化炭素排出者に対し、実績のある貯留オプションを提供できるほか、それに伴う脱炭素プロジェクトへの投資意思決定のサポートにつながることが期待されています。

今後の展望
丸紅は、本操業での実績や、2024年に参画した米国テキサス州南部におけるCCSプロジェクトでの知見や経験をもとに、二酸化炭素排出者との協議を加速し、本プロジェクトの商業規模での操業実現に向けて取り組みます。将来的には、アルバータ工業地区など近隣の産業を中心に、複数の排出源から年間3百万トンの二酸化炭素を輸送・貯留することを目指します。丸紅は、今後もCCS事業を通じて、二酸化炭素の削減が困難な産業界のカーボンニュートラル化に貢献していきます。

(※1)「Carbon Capture and Storage」の略。二酸化炭素の回収・貯留すること。
(※2)複数の産業施設から排出される二酸化炭素を輸送・集約し、地中に貯留するための大規模なCCS事業拠点。
(※3)「Direct Air Capture」の略。大気中から直接二酸化炭素を回収する技術。

<Bison社概要>

会社名 :Bison Low Carbon Ventures Inc.(バイソン・ロウ・カーボン・ベンチャーズ)
本社所在地 :カナダ・アルバータ州
設立 :2020年
事業内容 :二酸化炭素回収・貯留事業の開発
ウェブサイト https://bisonlowcarbon.ca/

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