2024年

タイにおける廃タイヤ熱分解リサイクル事業への出資参画について

2024/09/06
丸紅株式会社

丸紅株式会社(以下、「丸紅」)は、タイ王国(以下、「タイ」)で廃タイヤの熱分解リサイクル(※1)事業(以下、「本事業」)を展開するGreen Rubber Energy Company Limited(以下、「GRE」)に出資参画しました。 

現在、世界では年間3,000万トン以上のタイヤが廃棄され、相当量の廃タイヤが環境負荷の高い埋め立てや焼却により処理されており、この対策として各国で廃タイヤ処理に関する規制の導入・強化が進んでいます。また、タイヤメーカー各社は、地球環境に一層配慮したタイヤ製造を実現するために再生可能原料比率の向上を掲げています。このような背景から、環境負荷を低減する方法として、廃タイヤをタイヤ原料に再利用するリサイクル技術への注目が高まっています。

GREは、廃タイヤの熱分解により、再生カーボンブラック(recovered Carbon Black。以下、「rCB」)(※2)や再生油などを取り出す技術開発に10年以上取り組んできました。これまでrCBは不純物の含有等による品質の不安定さから、タイヤ原料としての再利用が技術的に難しいとされていましたが、GREは、タイヤ用途に利用可能なrCBの安定的な生産を実現しました。

丸紅は本事業への出資参画により、タイにおける廃タイヤの回収から、rCB・再生油などのリサイクル原料の生産・販売までに至る、タイヤのリサイクルサプライチェーンの構築を目指します。丸紅グループのネットワークを活用し、丸紅の子会社でタイ最大手のカーメンテナンス事業会社であるB-Quik Co., Ltdが回収した廃タイヤのGREへの供給、丸紅が出資参画するドイツRCB Nanotechnologies GmbHの技術を用いたrCBの高純度化による用途拡大、丸紅の子会社でゴム原料や副資材の調達・販売を行う丸紅テクノラバー株式会社の販売網を活用したrCB・再生油の拡販などを行います。将来的には、日本や東南アジアをはじめ世界各国で、本事業をモデルケースとしたタイヤのリサイクル事業を展開していきます。

<丸紅がタイで構築するタイヤのリサイクルサプライチェーン> <丸紅がタイで構築するタイヤのリサイクルサプライチェーン>

丸紅は、中期経営戦略GC2024において、グリーン戦略を企業価値向上に向けた基本方針の一つと位置付けています。タイヤ・ゴム製品事業では、ゴム原料の供給からタイヤなどの販売まで、持続可能なバリューチェーンの構築を目指しており、本事業を通じ、廃タイヤの環境負荷の低減や、タイヤ・ゴム製品産業の再生可能原料の導入促進に貢献していきます。

(※1)熱分解リサイクル:廃タイヤを無酸素下で熱することにより、ゴム成分を分解し、再生カーボンブラックや再生油などの再生資源を生成するリサイクル方法。
(※2)再生カーボンブラック(rCB):カーボンブラックは炭素を主体とした微粒子で、主にゴムの補強材として使用される製品。rCBは廃タイヤの熱分解により生成され、不純物の含有量が少ないものはタイヤ原料に、不純物の含有量が多いものはセメント原料や顔料に使用される。
(※3)rCB2.0:不純物を含むrCBにRCB Nanotechnologies GmbH独自の化学精製を施すことで高純度化したもの。2024年2月15日付関連リリース参照。

<GREの概要>
会社名 : Green Rubber Energy Company Limited
本社所在地 : タイ王国サムットプラカーン県
設立 : 2007年
代表者 : Ongart Auapinyakul
事業内容 : 廃タイヤ熱分解リサイクル事業
処理能力 : 廃タイヤ約1万トン/年

<関連ニュースリリース>
・2024年2月15日
廃タイヤリサイクル事業に向けた次世代再生カーボンブラック製造事業への出資参画について
https://www.marubeni.com/jp/news/2024/release/00007.html
・2024年7月22日
「タイヤ電池🄬」搭載の街路灯で実証試験を開始
https://www.marubeni.com/jp/news/2024/info/00034.html

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