2023年

海上輸送における船舶のCO2排出量削減に向けたBlue Visby Prototype/Chemicalsの開発について

2023/08/08
丸紅株式会社

丸紅株式会社(以下、「丸紅」)は、Blue Visby Services Ltd.(以下、「Blue Visby」)と、船舶の目的地到着の最適日時を通知する統合システムBlue Visby Solution(以下、「本システム」)のカスタマイズ版であるBlue Visby Prototype/Chemicals(仮称)の開発に関する意向書を締結しました。

【目的港付近で入港待ちする船舶】 【目的港付近で入港待ちする船舶】

【本システムによるCO2削減シミュレーションの結果(丸の大きさ:削減可能なCO2排出量の多さ)】 【本システムによるCO2削減シミュレーションの結果(丸の大きさ:削減可能なCO2排出量の多さ)】

丸紅は、2022年8月に本システムの開発に取り組むBlue Visbyコンソーシアム(※1)に加盟し、Napa Oyと共に、丸紅が運航するガス・化学品用のタンカーで本システムを用いたCO2排出量削減に関する検証を実施しました。その結果、運航・用船した68船・合計625航海で、平均約15%のCO2排出量の削減が確認されたことから、Blue Visby Prototype/Chemicals の開発に向けた意向書の締結に至ったものです。

本システムは、速く航走し目的地近辺で待機する「Sail Fast, then Wait」という貨物船の慣習による非効率な燃料使用を改善し、CO2排出量の大幅な削減を実現することを目的としています。中立かつ独立したプラットフォームとして展開され、2023年より開始されたCII燃費実績制度(※2)への対策としても活用することができます。

Blue Visby Prototype/Chemicalsは、Blue Visbyコンソーシアムからスピンアウトする形で、丸紅とBlue Visbyの2社間にて、本システムを化学品全般の海上輸送向けに応用するものです。貨物に応じて、CO2排出量削減を目的に最適な到着日時を通知するシステムの開発は、世界初の試みであり、これを基礎モデルとして、様々な貨物向けにカスタマイズ版を開発することが可能となります。

丸紅は、これまでの多岐にわたる化学品取引のネットワークを通じ、Blue Visby Prototype/Chemicalsの実証・実装を支援し、化学品の低炭素輸送に貢献していきます。

(※1)船舶の目的地到着の最適日時を通知する統合システムBlue Visby Solutionの開発を目的に設立され、2023年8月現在27社で構成されるコンソーシアム。一般財団法人日本海事協会の100%子会社であるNapa Oyと、英国・ロンドンに本社を持つ国際弁護士事務所Stephenson Harwood LLPが共同で運営。

(※2)Carbon Intensity Indicatorの略。船舶の年間燃費実績に基づいた格付けを行い、国際海運全体の燃費改善を促進する枠組みで、IMO(国際海事機関)で採択。2019年の船種ごとのCII平均値に対しCII値を2023年に5%削減、2024年7%、2025年9%、2026年11%と年々削減率を増やすことが求められる。またIMOは、傭船者、港湾、保険会社、金融機関、水先案内人など、すべての海運関係者に対して、CII格付けの高い船舶にインセンティブを与えることを奨励。

<Blue Visby 概要>
会社名 : Blue Visby Services Ltd.
本社所在地 : Minster House, 42 Mincing Ln., London EC3R 7AE, England
設立 : 2021年7月
代表者 : Pekka Pakkanen, Christian Wounlund
事業内容 : 船舶の運航支援システム開発

<関連プレスリリース>
・2022年8月3日 
デジタル技術の活用により船舶のCO2削減を目指すBlue Visbyコンソーシアムへの参画について
https://www.marubeni.com/jp/news/2022/release/00054.html

以 上

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