2021年

『気候変動長期ビジョン』 ~温室効果ガス排出のネットゼロに向けて~

2021/03/09
丸紅株式会社

丸紅株式会社(以下、「丸紅」)は、パリ協定のもと、今世紀末の気温上昇を1.5℃に抑制すること(以下、「1.5℃目標」)の重要性・緊急性を認識し、気候変動対策への中長期的な貢献を果たすために、『気候変動長期ビジョン』を策定しました。その一環として、丸紅グループは、2050年までにグループにおける温室効果ガス(GHG:Greenhouse Gas)排出ネットゼロを目指します。また、2050年GHG排出ネットゼロを実効性のあるものとするため、2030年に向けたアクションプラン(行動計画)を策定しました。

(1)2050年GHG排出ネットゼロ
1.5℃目標と整合する水準でGHG排出削減を行い、削減できない残余排出を国際的に認められる森林・農地等自然を基盤とした手段や技術的な手段によりニュートラル化(GHG除去)することで、2050年までにGHG排出をネットゼロにすることを目指します(*1)。

(*1)対象範囲:
Scope 1: 丸紅単体及び連結子会社の燃料燃焼・工業プロセス等による事業活動に伴い発生する自らの排出(直接排出)
Scope 2: 丸紅単体及び連結子会社による、他社より供給されたエネルギーの使用に伴う排出(間接排出)
Scope 3カテゴリ15(投資):サプライチェーン排出のうち、持分法適用関連投資先(以下、「関連投資先」)のScope 1及びScope 2

<2030年に向けたアクションプラン(行動計画)>
2050年GHG排出ネットゼロを実効性のあるものとするため、2030年に向けたアクションプラン(行動計画)を以下の通り策定しました。

① 丸紅単体・連結子会社(Scope 1・Scope 2)における2019年度CO2排出量約1百万CO2トンを総量ベースで5割削減
2020年9月に公表した削減目標(2018年度対比で2030年までに25%削減)を1.5℃目標と整合性のある目標値に見直し、2019年度CO2排出量約1百万CO2トンを2030年までに5割削減します。

② 丸紅グループの関連投資先(Scope 3カテゴリ15(投資))の2019年度CO2排出量約36百万CO2トン(*2)を総量ベースで2割削減

(*2)既存投資先の2019年度実績に、現時点での約定済み案件(電力事業については売電契約締結済みで商業運転開始前の案件)からの想定排出量を加えた排出量。

 新規投資による排出量増加や発電量の増減等に伴う排出量の変化、新技術活用(CCS(*3)、水素・アンモニア混焼等)等による排出量の削減等は上記に含めない前提としています。低炭素社会への移行に向けた社会のニーズに応えるべく、ガス火力発電事業等のガス関連新規開発については継続します。今後の関連投資先の排出量に影響を与えうる要素については、排出削減の進捗のモニタリングを行うとともに、見直しを行っていきます。また、2050年GHG排出ネットゼロ達成に向けたマイルストーンを1.5℃目標と整合する水準で設定すべく、継続的に検討を行います。

(*3)CCS: Carbon dioxide Capture and Storageの略。二酸化炭素回収・貯留。

③ 石炭火力発電事業によるネット発電容量半減のタイミングを前倒し
2018年9月に公表した石炭火力発電事業及び再生可能エネルギー発電事業に関わる方針のもと、これまでに実施した脱石炭火力発電事業の進捗を踏まえ、石炭火力発電事業によるネット発電容量半減のタイミングを2030年から2025年へ前倒し、ネット発電容量を2030年には約1.3GW(上記②の関連投資先の削減値に含む)、2050年までにゼロとします。

④ 森林・植林地によるCO2吸収・固定化
植林地・管理林のCO2蓄積量(現状約11百万 CO2トン)につき、CO2蓄積量の拡大(*4)を図るとともに植林資産の多目的利用等による固定量の拡大に取組みます。

(*4)植林地の一部拡大と単位面積当たりの蓄積量増大、また管理林の適正管理により2030年の想定CO₂蓄積量は約19百万 CO2トン。

丸紅グループは、これらのアクションプランを実践することで、GHG排出ネットゼロの対象範囲全体で2030年に2019年度対比2割の削減を目指します。
これらのアクションプランは、丸紅グループの現時点の事業ポートフォリオを対象に、現在の国際社会の認識、想定される制度変更や技術革新を前提に策定したものであり、今後これらの前提条件の変化を踏まえ、適宜見直しを行っていきます。

(2)事業を通じた低炭素・脱炭素化への貢献
丸紅グループは、低炭素・脱炭素化への移行を事業機会と捉え、エネルギー供給面では脱炭素社会の基盤となるエネルギーシステムの構築、エネルギー需要面では幅広い産業におけるGHG排出抑制・削減への取組み、また土地利用の分野では持続可能なアグリインプット事業・森林経営への取組みを推進し、社会のGHG排出削減に貢献していきます。

丸紅グループは、2050年GHG排出ネットゼロを達成すると同時に、事業を通じて低炭素化・脱炭素化に貢献することにより、事業活動による環境インパクトの総和をポジティブへ転換していくことを目指します。

以 上

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