できないことは、みんなでやろう。
誰ひとり取り残さない、丸紅のサステナブルコーヒー

芳醇な1杯のコーヒーは、人々を幸せにする。だが、コーヒー豆を育てる人々が幸せに暮らすことができなければ、コーヒーを味わう文化も、それを支えるビジネスも、やがて立ち行かなくなる。

世界中からコーヒー豆を買いつけ、対日輸入量の約3分の1を取り扱う丸紅は、サステナブルという言葉が世の中に浸透する前から、生産者の支援にエネルギーを注いできた。
「生産地の多くは発展途上国であり、その大半が1ヘクタールほどの家族経営の小規模農園です。彼らが持続可能な生産を行えるように、我々がビジネスを通じてサポートしていくことが必要なのです」。そう話すのは、コーヒー事業に約20年携わる石原嘉人だ。

丸紅は自らの経験と知見に基づいて、「サステナブルコーヒー」を独自に定義している
1つは、小規模農園への支援が行われていること。もう1つは、国際的な認証を取得していること。2025年3月期までに取り扱うコーヒー豆の半数を、このどちらかの条件を満たすサステナブルコーヒーとすることを目標に掲げる。

特に重視しているのは、小規模農園への支援だ。彼らの収入は変動する国際相場に左右され、不安定になりがちだ。国際認証を取得しようにも、小さな農園がその費用と労力を工面するのは容易ではない。彼らが高品質のコーヒー豆を生産できるようになり、適正な対価が支払われること。安心してコーヒーづくりに専念できるようになること。これらは持続可能なサプライチェーンを構築するうえできわめて重要であり、まさに「誰ひとり取り残さない」というSDGsの基本理念の体現である。

手間ひまをかけて小さな農園を守り、育てていく

あるとき、丸紅はグアテマラのサン・マルコス地区の農協から「農園内の託児所での教育を充実させ収穫従事者が安心して子女を預けて働ける環境を設けたい」という相談をもちかけられた。趣旨に賛同した丸紅の支援により、2021年に託児所へ教育資材の供与、教員の派遣、教育カリキュラムの導入が始まった。
現在コロンビアでも同様の取り組みを進めている。エチオピアのある村では、2015年に学校建設のサポートを実施し、今では約1,400人の子どもたちが、この学校に通っている。

病害虫に強い苗や農具の配布、営農指導セミナーの実施など、高品質なコーヒー豆を生産するための支援活動も以前から地道に続けている。
「我々だけで世界中にあるすべての農園をカバーすることはできません。現地のパートナーの力を借りながら取り組んでいます」と石原は言う。アジアでは、加工に精通した技師を現地に常駐させる等、徹底した指導と管理を行なっている。「安定的に高品質の豆を生産できるので、我々も安心して日本のお客さまに販売することができるのです」と石原は言う。

コーヒーに関わるすべての人――生産者から消費者まで――を幸せにする。それこそが、丸紅が目指すサステナブルコーヒーなのだ。