2026年4月24日
丸紅株式会社
丸紅は、スペインのMultiverse Computing SL(以下、「Multiverse社」)と、量子インスパイアード技術(※1)を用いたAIモデル圧縮ソリューション「CompactifAI」(以下、「本技術」)の日本展開に向けた覚書を締結し、日本における市場調査(以下、「本調査」)を進めます。本調査は2026年度中の完了を目指しています。
案件・技術の特徴
一般的にAIモデルの軽量化では、圧縮率を高めるほど精度低下が生じやすいという課題があります。これに対し、量子AI企業としてグローバル市場で高く評価されている(※2)Multiverse社は、量子インスパイアード技術としてテンソルネットワーク(※3)を活用することにより、高圧縮に対するAIの精度低下を2~3%程度に抑えながら、モデルサイズを最大約90%圧縮できる技術(※4)を確立し、大規模なAIモデルをより少ない計算資源で稼働させることを可能にしました。
本技術を用いた圧縮により、クラウドの使用容量や消費電力の大幅削減、処理速度の大幅な向上が期待されるだけでなく、従来は高性能な計算基盤を前提としていたAIを、車載機器などのエッジコンピューティング環境や、厳格なセキュリティ要件に対応するセキュアなオンプレミス(自社保有)環境にも実装しやすくなり、産業用途に応じた柔軟な応用が可能となります。
背景・意義
近年、生成AIの活用が急速に進む中、日本では、データセンターの電力消費増大、計算資源不足に加え、高性能GPUへの依存に伴う運用コストの増大が、DX推進の課題となっています。本技術は、AIの計算資源を最適化することにより、これらの課題解決に寄与するものです。当社は本技術の日本展開を通じて、日本企業のAI運用コスト削減や環境負荷の低い「グリーンAI」の実現、データや運用管理を自社・国内で確保しやすい高度なAI(ソブリンAI)の実装を支援します。
今後の展望
丸紅は、量子コンピュータを中心とする量子関連技術の産業応用を見据えた事業創出を推進しています。Multiverse社との提携により、日本における本技術の有用性を検証し、日本産業の発展と持続可能な社会インフラの構築に貢献していきます。
(※1)量子コンピュータのアルゴリズムや数理構造を着想源とし、その考え方を従来型コンピュータ上で実装する技術。量子ハードウェアを用いずに、組み合わせ最適化や機械学習の高速化・高精度化を実現する技術。
(※2)世界の有望なAIスタートアップ100社を選出する米国CB Insights社の「AI100」への選出、欧州の次世代ユニコーン企業に贈られる「Future Unicorn Award」の受賞等。
(※3)複雑で高次元なデータを、小さな行列の結合として効率的に処理する量子力学由来の数学的手法。本技術ではこれをAIのデータ構造(重み行列)の圧縮に応用している。
(※4)Multiverse社による技術検証結果の論文:https://arxiv.org/pdf/2401.14109
<Multiverse社概要>
| 会社名 | :Multiverse Computing SL(マルチバースコンピューティング) |
| 本社所在地 | :スペイン、サン・セバスティアン |
| 設立 | :2019年 |
| 代表者 | :Enrique Lizaso |
| 事業内容 | :量子インスパイアード技術を活用した産業向けソフトウェア(AIモデル圧縮ソリューション等)の開発・提供 |
| ウェブサイト | :https://multiversecomputing.com/ |