2025年11月25日
丸紅株式会社
丸紅は、豪州・南オーストラリア州(以下、「南豪州」)において、安価な再エネ水素(以下、「グリーン水素」)製造、水素吸蔵合金(※1)を使用したインドネシア共和国(以下、「インドネシア」)への輸送、および燃料電池を通じた水素の利活用を行う実証事業(以下、「本実証事業」)を完了しました。
本実証事業について
本実証事業は、環境省が公募した「令和3年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(二国間クレジット制度資金支援事業)水素製造・利活用第三国連携事業(※2)」に採択され、2022年1月より開始したものです。
丸紅は、子会社のSmartestEnergy Australiaが提供するエネルギーマネジメントシステム(※3)と蓄電池を活用し、南豪州において、余剰再エネ電力から安価で安定的なグリーン水素製造を行いました。製造したグリーン水素は、水素吸蔵合金タンクを使用してインドネシアへ輸送し、ジャカルタ近郊の工業団地において、燃料電池を通じて長時間にわたる電力供給を実施しました。これにより、水素の輸送手段としての水素吸蔵合金の有用性、および製造から供給までのサプライチェーン構築の実現性を立証しました。
今後の展望
丸紅は、本実証事業終了後も、本実証事業の設備(以下、「本設備」)でグリーン水素を製造し、豪州国内で利活用する取り組みを進めていきます。これまでの取り組みとして、本設備に隣接する天然ガス火力発電所を保有するエネルギー会社・Iberdrola Australiaとの間で水素売買契約を締結し、本設備で製造したグリーン水素を供給することで、2025年9月に豪州で初めての混焼試験に成功しました。今後も、余剰再エネ電力で製造する安価な水素をガスタービンの混焼燃料として供給するとともに、水素製造のために導入した蓄電池の運用を通じて、系統電力の調整機能も果たしていきます。
丸紅は、今後も、クリーンエネルギーの供給・利活用など脱炭素に寄与する案件を構築・推進することで、持続可能な社会の実現を目指します。
(※1)冷却や加圧すると水素を吸収し、加熱や減圧により水素を放出する合金。安全でコンパクトな水素の貯蔵・輸送技術として注目されている。
(※2)二国間クレジット制度(Joint Credit Mechanism: JCM)を通じた日本の温室効果ガス排出削減目標の達成に資することを目的として、再エネが豊富な第三国において再エネ由来水素を製造し、島嶼国等への輸送・利活用を促進する実証事業に対し補助金を交付する事業。本実証事業の輸送先であるインドネシアは二国間クレジット制度のパートナー国。
(※3)天候・電力市場価格などの情報をもとにシステム全体を最適に運用するもの。
<関連ニュースリリース>
- 2022年1月12日
豪州・インドネシア間のグリーン水素製造・輸送・利活用に関する実証事業開始について
https://www.marubeni.com/jp/news/2022/release/00003.html