2024年
Co-processing製法により製造されたSAF(持続可能な航空燃料)の供給開始について
2024/06/17
丸紅株式会社
丸紅は、石油由来原料とバイオ原料の同時処理を行うCo-processing製法により製造された持続可能な航空燃料(Sustainable Aviation Fuel、以下、「SAF」)※1の日本市場への供給を開始しました。丸紅は、韓国の石油精製会社であるHD Hyundai Oilbankより、同社製油所において生産された植物油(廃食用油)由来のSAFを調達し、丸紅が100%出資する丸紅エネックス株式会社の千葉ターミナルにて、全日本空輸株式会社向けに供給しました。Co-processing製法によるSAFの供給は、日本で初めてです。

航空業界を取り巻く環境
航空業界においては、CO2排出量の削減が喫緊の課題となっており、国際民間航空機関(ICAO)は、CO2排出削減制度※2を導入しています。SAFの活用は、CO2排出量を削減する有効な手段として期待されており、日本政府が2030年に航空燃料へのSAF混合率を10%とすることを目標として掲げる等、今後の需要拡大が見込まれています。
Co-processing製法とは
Co-processing製法は、既存製油所の石油精製設備に、石油由来原料と植物油(廃食用油)等のバイオ原料を混ぜ合わせて投入することで、一部がバイオ由来の石油製品を製造する手法です。大規模な改修工事無しに既存設備が使えるため、設備投資費用が抑えられることや短い期間でSAFの製造を開始できることから、SAFの新設生産設備が運転・普及するまでの移行期間における有効な製法として期待されています。
今後の展望
丸紅は、2021年3月に気候変動長期ビジョンを策定、中期経営戦略「GC2024」ではグリーン戦略を企業価値向上に向けた基本方針の一つと位置付けています。今後も、SAF供給網をさらに拡大する等、航空燃料の持続可能なサプライチェーンの構築を通じて、航空業界の低炭素化を含む世界の気候変動対策への中長期的な貢献を目指します。
1 化石燃料由来ではなく、化石燃料に比べライフサイクルでCO2排出量が少ないジェット燃料。
2 2016 年にICAO がCORSIA 制度(国際民間航空のためのカーボンオフセットおよび削減スキーム)を採択。 2021年以降にCO2排出量を増加させない制度で、各航空会社は決められた排出枠を超えてCO2を排出した場合、必要量の排出枠を購入しオフセットする義務等が課されている。
<各社概要>
会社名 | :HD Hyundai Oilbank |
所在地 | :大韓民国城南市 |
設立 | :1964年 |
代表者 | :President & C.E.O Young Min Chu |
事業内容 | :石油製品の製造・販売等 |
ウェブサイト | :https://www.hd-hyundaioilbank.co.kr/eng/main/index.do |
会社名 | :全日本空輸株式会社 |
所在地 | :東京都港区 |
設立 | :1952年 |
代表者 | :代表取締役社長 井上 慎一 |
事業内容 | :航空運送事業、航空機使用事業等 |
ウェブサイト | :https://www.ana.co.jp/group/ |
会社名 | :丸紅エネックス株式会社 |
所在地 | :千葉県千葉市 |
設立 | :1973年 |
代表者 | :代表取締役社長 川野 光一郎 |
事業内容 | :バイオ燃料、石油、LPガス及びメタノール等有機化学製品の入出荷・貯蔵管理、運営、および製品タンクと関連設備の賃貸業務等 |
ウェブサイト | :https://www.marubeni-ennex.co.jp/ |