2023年
2023年度入社式 社長訓示
2023/04/03
丸紅株式会社
皆さん、おはようございます。社長の柿木です。役員・社員を代表して、皆さんの入社を心から歓迎します。
今日から丸紅グループの一員となる皆さんに、当社の現状と経営方針、そして、特に心掛けて欲しいことをお話します。
まず、私たちを取り巻く環境について考えると、不透明感が加速していると言えます。2020年、イランによるイラクの米軍基地攻撃に世界が不安を募らせる中、突如として新型コロナウイルスが蔓延、漸く収束へ向かうと思った矢先の昨年2月にはロシアによるウクライナ侵攻が発生し未だに解決の糸口が見えない状況にあります。
そして直近ではアメリカの銀行の経営破綻や大手欧州銀行の経営危機など、予見も出来なかったことが起き続け、将来を見通すことはより難しくなってきています。皆さんもこれから丸紅グループの一員として、予想できない形で変化する世界と対峙していくことになるでしょう。
このような非連続で不透明な世の中において、丸紅グループはどのような存在であるべきでしょうか。
私は、「世の中のギャップを埋め続ける永遠のパートナー」であると考えています。20世紀には地理的なギャップを貿易で埋め、21世紀に入ってからは将来的な価値と現在の価値のギャップを投資で埋めてきました。そしてこれからは「見えにくい未来と現在の間のギャップを埋めていく」ことが私たちの役割です。
丸紅グループ の強みは、総合商社として事業領域や商材にとらわれることなく、何にでも柔軟に取り組めることです。ギャップの中に潜む社会や顧客の課題に向き合い、柔軟な発想でそれらを解決し、新たな価値を創出する。先を見通すことが困難な時代は、私たちの活躍のチャンスと言えます。
時代によって役割を変化させ、拡大させながら、その時代時代の課題を解決し続けることが丸紅グループの企業としての使命であり、丸紅が165年もの歴史を積み上げることができた理由です。
さて、丸紅グループは、2022年度より3ヵ年の中期経営戦略GC2024をスタートしました。今ここにいる経営メンバーが議論を重ねて策定した、私たちが進むべき方向を示す道しるべです。
GC2024では「既存事業の強化と新たなビジネスモデル創出の重層的な追求」、および「グリーン戦略」という2つの基本方針を掲げ、これらを両輪として企業価値向上を目指しています。
丸紅グループは2022年度に過去最高益を達成する見通しです。しかしながら、今稼げているからこのままで良いと現在のビジネスに安住してしまうことに危機感を持っています。世の中は物凄いスピードで変化しており、明日の朝起きたら世界情勢や取引先の需要が180度変わっている、ということが起こり得ます。私たち が中長期的に成長し続けるためには、今あるビジネスを維持・拡大していくこと、新しいビジネスモデルを創出すること、これらを同時に追い求める事が必要不可欠なのです。
それに加え、脱炭素や、循環経済への移行、水資源・生物多様性の保全、人権の尊重、持続可能なサプライチェーンの構築など、優先度の最も高い社会課題に取り組む「サステナビリティ経営」は、丸紅グループがビジネスを行っていく上での大前提となります。GC2024では丸紅のサステナビリティ経営における戦略を「グリーン戦略」として定めました。私たち は総合商社として幅広い業界と対面しており、サステナビリティに直接的に資する事業の推進によって、またあらゆる業界のサステナビリティに関わる課題を解決し「グリーン化」していくことによって、社会や顧客に貢献し、丸紅グループ 自身も成長していこうという考え方です。
GC2024はこうした経営戦略を実践していく「戦略実践の3年間」と位置づけています。その実践を担うのが皆さんを含めた「人財」です。
人財は丸紅グループの価値の源泉です。グループ社員一人ひとりが持てる力を最大限発揮することが当社グループの成長のカギです。世界中に46,000人のグループ社員を擁する丸紅グループにとって、多様性は特に重要です。多様性にはジェンダー、年齢やライフステージ、国籍・人種や社会・宗教・文化的背景、障がいの有無など、様々な要素があります。これらの異なる特徴を持つ仲間たちへのリスペクト、尊敬の念を皆が持ち、能力と意欲があれば誰にでもチャレンジの機会が与えられる、丸紅はそういう企業グループを目指していきたいと考えています。昨年「女性活躍 推進2.0」として、女性の成長機会の充実に長期的に取り組んでいくという意思表明をしたのもこの取り組みの一環です。
また、皆さんを含めた若手の育成と活躍や、シニアの方々の活躍等、年齢を問わず生き生きと働くことのできる環境づくりにも取り組んでいきたいと考えています。
最後に、丸紅グループの一員になられた皆さんに日々心掛けてもらいたいことを3点お話しします。
1つ目は、「スピード感をもってチャレンジする」ことです。
失敗を恐れることはありません。どんどん新しいことにチャレンジして下さい。
変化の激しい時代においては、知識やスキルも直ぐに陳腐化してしまいます。新しいビジネスはスピード感をもって取り組まないと、チャンスを逃してしまいます。まさに皆さんが活躍できるチャンスです。世の中の社会課題、価値観の変化に正面から向き合い、誰よりも早く、一歩でも半歩でも先に踏み出して下さい。一人ひとりが既存の枠組みにとらわれない自由な発想を持ち、積極的に発信して下さい。皆さんの上司はもちろんのこと、私と経営陣は、皆さんがチャレンジ出来る環境を用意することをお約束します。
2つ目は、「好奇心を持ち続ける」ことです。
自分の担当範囲からちょっと外れたことや、隣の人の仕事に興味を持ち続けてほしい。入社1年目は特に、日々の業務に忙殺され、多数の困難にぶつかって、周りに目を向ける余裕がなくなるかもしれません。それでも出来る限り、今日共に入社した同期の仲間達、隣の課の人たちが何をやっているのかに関心を持ち続けてください。組織の壁を打ち破り新たな価値を生み出す「横連携」は全て、こうした小さな好奇心がきっかけとなって始まると思うのです。お互いに好奇心・関心を持ち、経験や知識を積極的に共有し合うような文化を丸紅グループに根付かせたいと思っています。
3つ目は、「現場を大事にする」ことです。
オフィスにいるだけでは、現場の課題、社会やマーケットの変化を見つけることは出来ません。大学時代の大半をコロナ禍の中で過ごされた皆さんも実感されていると思いますが、私たちもコロナ禍によって対面のコミュニケーションの重要性に改めて気づかされました。私自身も、国内から海外まで毎月出張し、現場の状況把握、Face to Faceでのコミュニケーションを通じ顧客自身も気づいていないような本当の課題を把握しようと努めています。皆さんも是非足しげく現場に通って、先輩たちのやり方を観察し、顧客の話に耳を傾け、今そこで何が起きているのか、本当の課題は何か、常に五感を研ぎ澄ませて感じとってください。そして一日も早く各現場の戦力として成長し、立ちはだかる困難や障害を共に乗り越えていく仲間となっていって頂ければと思います。
本日ここにいる皆さんが笑顔で元気に活躍されることを期待して、私からの訓示とします。
入社おめでとうございます。
以 上