2022年

畜産業界におけるJ-クレジット制度への登録について

2022/09/21
丸紅株式会社

丸紅株式会社(以下、「丸紅」)は、株式会社ファームノートデーリィプラットフォーム(以下、「ファームノートDP」)と、畜産分野での温室効果ガス(以下、「GHG」)排出削減量のクレジット化で協働し、9月16日、家畜排せつ物管理方法の変更(*1)において日本初となるGHG排出削減プロジェクトがJ-クレジット制度(*2)に登録されました。

地球温暖化が進む中、日本の平均気温は世界平均の2倍近いスピードで上昇し(*3)、畜産業界においても、乳量の減少や餌となる作物の収穫量の減少など、気温上昇が生産環境に影響を及ぼしています。また、国内における家畜排せつ物由来のGHGは、農林水産業全体のGHG排出量の約12%を占めており(*4)、 排出量の削減が課題となっています。

今回登録されたGHG排出削減プロジェクトは、従来、貯留し畑に散布していた乳牛のふん尿を、ファームノートDPでは固液分離機を導入し強制発酵(*5)することでGHG削減を行うものです。固体分の管理方法を「貯留」から、GHG排出係数が小さく、より環境負荷の低い「強制発酵」に変更することで、年間175トン(22年9月時点)相当のCO2を削減することができます。GHG排出量の算定やJ-クレジットの申請・販売に関する丸紅のノウハウを活かし、環境や家畜に配慮した牧場運営を行うファームノートDPと協業することにより今回のプロジェクトが実現しました。

【従来の排せつ物管理方法】 【従来の排せつ物管理方法】

【GHG削減に寄与する管理方法】 【GHG削減に寄与する管理方法】

国内でのJ-クレジットの需要が高まる中、丸紅は、J-クレジットの販売だけでなく、J-クレジット制度のインセンティブとして、J-クレジットの販売収益を事業者に還元することで、排せつ物処理設備の導入を後押しし、脱炭素化を推進していきます。丸紅は、気候変動長期ビジョンを策定し、2050年までにグループでのGHG排出をネットゼロとすることを目指し、グリーン戦略の一環として畜産分野での脱炭素化の取り組みに力を入れています。今後も畜産分野でのDX化とグローバルで培った脱炭素化のノウハウを活かし、農家と家畜、環境に優しい持続可能な畜産業の実現に貢献していきます。

(*1)家畜排せつ物管理方法の変更:方法論番号AG-002を指す。
(*2)J-クレジット制度:省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用によるGHG等の排出削減量や、適切な森林管理によるGHG等の吸収量を「クレジット」として国が認証する制度。
出典:J-クレジット制度ホームページ (https://japancredit.go.jp/
(*3)出典:2021年 農林水産省 『みどりの食料システム戦略』
https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kankyo/seisaku/midori/attach/pdf/index-7.pdf
(*4)出典:2022年 農林水産省 『畜産環境をめぐる情勢』
https://www.maff.go.jp/j/chikusan/kankyo/taisaku/attach/pdf/index-87.pdf
(*5)強制発酵:空気に触れさせることによって起こる発酵のこと。

【スラリーの固液分離機】 【スラリーの固液分離機】

【分離した固体分を強制発酵し敷料として利用】 【分離した固体分を強制発酵し敷料として利用】

【ファームノートDP 概要】
名称 株式会社ファームノートデーリィプラットフォーム
本社 北海道標津郡中標津町俵橋1736番地
設立 2019年8月
代表 代表取締役 小林 晋也
事業内容 酪農経営、酪農生産のDX(デジタルトランスフォーメーション)
HP https://farmnote-dp.jp/

以 上

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