2021年

宮城県富谷市における低炭素水素サプライチェーンの実証において停電時でも発電を可能とする水素混焼発電機を追加し運用を開始

2021/04/28
株式会社日立製作所
丸紅株式会社
みやぎ生活協同組合
宮城県富谷市

株式会社日立製作所(執行役社長兼CEO:東原 敏昭/以下、「日立」)、丸紅株式会社(代表取締役社長:柿木 真澄/以下、「丸紅」)、みやぎ生活協同組合(代表理事:大越 健治/以下、「みやぎ生協」)および宮城県富谷市(市長:若生 裕俊/以下、「富谷市」)は、2017年8月に環境省の「平成29年度地域連携・低炭素水素技術実証事業」の事業者に採択され、2018年から富谷市において低炭素水素サプライチェーン構築に向けた実証(以下、「本実証」)を行ってきました。このたび、停電時でも発電を可能とする水素混焼発電機を追加で設置し、本格運用を開始しました。

本実証では、みやぎ生協の物流センターの太陽光発電システムで発電した電力を用い、水電解装置で作られた水素を水素吸蔵合金*¹カセットに吸収させ、みやぎ生協の既存物流ネットワークを利用して家庭3軒、みやぎ生協店舗ならびに児童クラブに配送し純水素型燃料電池により電気や熱として利活用してきました。3年間の成果として、家庭向け利用で目標とした年間0.8トン/軒のCO2削減が実証され、全体システムの最適化のデータも得られました。

太陽光などの再生可能エネルギーは、気象条件などにより発電量が変動することから、電力を安定供給するために、その余剰電力でCO2を排出しない水素に変換して貯蔵する方法が注目されています。一方、災害の発生による停電時においても、水素を最大限利活用して、地球温暖化防止を図りつつ、持続的に設備を稼働させるサプライチェーンを構築するBCP*²対応も求められています。

今回の追加実証は、これまで以上に水素の利活用を図ることを目的に、日立とデンヨー株式会社が共同開発した水素混焼発電機をみやぎ生協の物流センターに設置し、同センターでの電気の自家消費を行うものです。追加した水素混焼発電機は、水素とSVO*³(廃食油)や軽油などを可変な割合で混合し、ディーゼルエンジン発電機で発電することで、BCP対応を強化します。みやぎ生協の店舗惣菜部門から生じるSVOを使い、水素と混焼させる先進的な試みであり、今後設備の運用・実証を行い、成果を2021年度末までにまとめる予定です。

今回の水素混焼発電機の設置により、広域災害の発生による系統電力の停電時であっても、貯蔵してある水素とSVOで発電が可能となります。そして、その電力で水電解装置と補機を再起動させた後に、太陽光発電システムからの電力が利用できる場合には継続して水素製造が可能となり、みやぎ生協による水素吸蔵合金カセットでの配送も継続して行えます。

また、水素混焼発電機で用いる水素は燃料電池に必要な水素純度が要らないこと、水素がなくても重油や軽油だけでも発電できること、水素の混焼率を上げると発電効率が向上すること、さらにSVO利用により廃液の有効活用の実現と、SVO割合分は固定価格買取制度(FIT)で系統接続が可能なことなどの利点も見込まれます。

日立、丸紅、みやぎ生協ならびに富谷市は、CO2を排出しない脱炭素未来都市をめざし、2021年2月10日にゼロカーボンシティ宣言を行った富谷市で構築したサプライチェーンを宮城県内全域から東北地域や日本全国に向けて拡大を図っていきます。

*¹ 水素吸蔵合金:冷却や加圧すると水素を吸収し,加熱や減圧により水素を放出する合金。
*² BCP(Business Continuity Plan):事業継続計画。災害や事故など不慮の事態を想定し、事業継続の対策をまとめたもの。
*³ SVO(Straight Vegetable Oil):不純物を取り除いただけの生の植物油(廃食油)。

■本実証と追加実証のイメージ ■本実証と追加実証のイメージ

■水素混焼発電機

ベース機
DCA-125LSIE
全長×全幅×全高 2.650×1.080×1.600m
整備質量 2.290t
発電能力 定格出力 三相交流出力:44kW
パワーコンディショナ出力:40kW(系統連系)
定格電圧/相数/周波数 AC400V / 三相4線 / 50Hz
水素混焼 水素混焼率 50%(軽油との熱量換算)
水素流量 350NL / min
追加した水素混焼発電機の外観 追加した水素混焼発電機の外観


■関連プレスリリース
・2017年8月4日 宮城県富谷市で低炭素水素サプライチェーンの構築に向けた実証を開始 環境省の「平成29年度地域連携・低炭素水素技術実証事業」に採択
 https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2017/08/0804.html
・2018年8月3日 宮城県富谷市で低炭素水素サプライチェーンの実証を開始
 https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2018/08/0803a.html

■事業に関するお問い合わせ
株式会社日立製作所 水・環境ビジネスユニット 環境事業部
スマートユーティリティ本部 カーボンニュートラル推進室 [担当:渡邊]
〒101-0021 東京都千代田区外神田1丁目5番1号(住友不動産秋葉原ファーストビル)
株式会社日立製作所 水・環境ビジネスユニット お問い合わせフォーム
https://www8.hitachi.co.jp/inquiry/water/jp/water_environment/form.jsp

丸紅株式会社 新エネルギー開発部[担当:藤本]
〒103-6060 東京都中央区日本橋二丁目7番1号 東京日本橋タワー
電話:03-3282-3730 (直通)

みやぎ生活協同組合 環境管理室 [担当:大原]
〒981-3112 宮城県仙台市泉区八乙女4-2-2
電話:022-771-2461 (直通)

宮城県富谷市 企画部企画政策課 [担当:松原]
〒981-3392 宮城県富谷市富谷坂松田30番地
電話:022-358-0517(直通)

■報道機関お問い合わせ先
株式会社日立製作所 インダストリー事業統括本部 事業戦略統括本部 
ブランド・マーケティングコミュニケーション部 [担当:森井]
〒101-0021 東京都千代田区外神田1丁目5番1号(住友不動産秋葉原ファーストビル)
電話:03-6271-7061 (直通)

丸紅株式会社 広報部 報道課 [担当:新谷]
〒103-6060 東京都中央区日本橋二丁目7番1号 東京日本橋タワー
電話:03-3282-4020 (直通)

みやぎ生活協同組合 機関運営部[担当:中塩、河端]
〒981-3112 宮城県仙台市泉区八乙女4-2-2
電話:022-771-1590 (直通)

宮城県富谷市 市長公室 [担当:高清水]
〒981-3392 宮城県富谷市富谷坂松田30番地
電話:022-358-3151 (直通)

以 上

一覧に戻る