2021年

ベトナムにおけるフロン類の回収・破壊事業の開始について
~フロン類の破壊を目的とした専焼炉の導入~

2021/04/26
丸紅株式会社

丸紅株式会社(以下、「丸紅」)は、ベトナムハノイ近郊において、環境省『二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism)(*1)(以下、「JCM」)を利用した代替フロン等の回収・破壊プロジェクト補助事業』(採択年度:2018年度~2020年度)の下、フロン類の回収および回収後の破壊事業(以下、「本事業」)を開始します。

先般、丸紅は、廃棄家電や大型空調設備、廃棄自動車などから回収するフロン類の破壊を目的とした専焼炉を途上国で初めて導入し、試運転を行いました。今後、本事業の有効性を確認し、クレジットの獲得を目指すとともに、同国でのフロン類回収・破壊スキームの普及を目指します。

日本政府は、2019年12月に開催されたCOP25において、フロン類のライフサイクルマネジメントに関するイニシアティブである「フルオロカーボン・イニシアティブ(IFL)(*2)」を立ち上げました。また、2020年10月に「2050年までに温室効果ガス(以下、「GHG」)の排出実質ゼロ」を目指すと表明しました。世界において、GHG削減は喫緊の課題であり、その中でもフロン類の回収・破壊は、日本の技術および回収・破壊スキームを活用したGHG削減のための有用な手段の一つです。また、本事業によりクレジットを獲得することで日本のGHG削減目標に貢献します。

世界全体でのフロン類の排出量は、二酸化炭素に換算すると年間約10億トン、2030年には20億トン(日本の年間GHG排出量の1.5倍)を超えると推計されています。特に途上国でのフロン類の排出抑制対策を進めることは、世界全体のGHG排出量削減につながり、地球規模の温暖化対策として重要です。

丸紅は、京都議定書第一約束期間(2008年~2012年)において、中国でCDM(*3)プロジェクトに登録されたフロン類破壊事業を行い、年間6百万トンのGHG削減を実現し、日本の京都議定書の目標達成に貢献しました。今後も、ベトナムをはじめとした途上国において、本邦企業の協力を得ながら、廃棄家電や大型空調設備、廃棄自動車などからのフロン類の回収数量を増やすとともに、規制やクレジット化によるインセンティブを活用しての回収・破壊スキームの確立を目指します。また、2021年3月に公表した丸紅の「気候変動長期ビジョン」に掲げている「事業を通じた低炭素・脱炭素化への貢献」、およびJCMを活用した日本のGHG削減目標達成に貢献していきます。

 (*1) 二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism)
日本の持つ優れた低炭素技術や製品、システム、サービス、インフラを途上国に提供することで、途上国のGHG削減など持続可能な開発に貢献し、その成果を二国間で分けあう制度。
(出典:地球環境センターHP

(*2) IFL(Initiative on Fluorocarbons Life Cycle Management)
フルオロカーボン(フロン)のライフサイクルマネジメントに関するイニシアティブ。本イニシアティブでは、具体的な取り組みやイノベーションを促進し、政府、民間部門、国際機関とともに、各主体の相互利益のための協働活動を進める。また、フルオロカーボンのライフサイクル管理の強化を支援し、既存の活動や枠組みとも連携する。
(出典:環境省HP

(*3) CDM(Clean Development Mechanism)
途上国が実施するGHG排出量削減への取組みを、先進国が資金や技術で支援し、達成したGHG削減分を先進国のGHG削減の一部に充当することができる制度。気候変動枠組条約京都議定書に盛り込まれた「京都メカニズム」と呼ばれる制度の一つで、京都議定書第12条に規定されている。

以 上

<本事業概要>
実施場所 ベトナム Bac Ninh(バクニン)省
Thuan Thanh(トゥアンタイン)社 廃棄物処理場
事業内容 フロン類の回収・破壊事業

<本事業写真> <本事業写真>

ベトナム・トゥアンタイン社廃棄物処理場に導入した専焼炉、試運転時のトレーニングの様子 ベトナム・トゥアンタイン社廃棄物処理場に導入した専焼炉、試運転時のトレーニングの様子

<関連リリース>
2019年8月26日付プレスリリース
ベトナムにおけるフロン回収・破壊事業の取り組みについて ~気候変動対策への貢献~
https://www.marubeni.com/jp/news/2019/release/20190826J.pdf

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