2021年

2021年度入社式 社長訓示

2021/04/01
丸紅株式会社

皆さん、おはようございます。役員・社員を代表して、皆さんの入社を歓迎します。短い時間ながらも、こうして皆さんとお会いし、直接メッセージをお伝えできることを嬉しく思います。

今日から丸紅グループの一員として社会人生活をスタートされる皆さんに、まずはコロナ禍によって加速した世界の大きな2つの潮流について、そしてそれらに対して皆さんにどのように対峙していただきたいかをお話ししたいと思います。

1つ目は、サステナビリティです。脱炭素を筆頭に、ESG、SDGsの話題をメディアなどで目にしない日はないでしょう。サステナビリティは新しいテーマではありませんが、コロナ禍が生活や価値観を見直すきっかけとなり、より一層重要性・注目度が増しています。環境や社会の持続性を前提としてビジネスを創り出していくサステナビリティの考え方は、当社の社是である「正・新・和」と通ずるものであり、国や分野を超えて広く活動している私たちの使命です。
当社は2018年、他社に先駆けて、石炭火力発電事業によるネット発電容量の半減や再生可能エネルギー電源の比率の拡大に関する方針を打ち出しました。この3月には「気候変動長期ビジョン」を公表し、2050年までに丸紅グループにおける温室効果ガス排出をネットゼロとすることを長期的目標として設定しました。
気候変動以外の分野でも、当社グループは様々なサステナビリティの取り組みを行っています。
私は、「商社とは世の中のギャップを埋め続ける永遠のパートナー」だと考えています。20世紀には地理的なギャップを貿易で埋め、21世紀に入ってからは将来的な価値と現在の価値のギャップを投資で埋めてきました。そしてこれからは「見えにくい未来と現在の間のギャップを埋めていく」ことが私たちの役割であると思います。
これから丸紅グループの一員として働く皆さんにも是非、数年後、数十年後よりもずっと先、数百年後の未来にまで思いを巡らせて人類社会を考える、「超長期的」な視点を持って頂きたいと思います。

2つ目は、DX、デジタルトランスフォーメーションです。
デジタル技術によってこの10年で人々の生活はこれまでにないスピードで変化しています。これは、従来型のビジネスが破壊され駆逐される、いわゆるディスラプトされる脅威であると同時に、新たなビジネスを生み出す機会であると私は考えています。当社には、ビジネスナレッジ豊富な人財は沢山いますが、デジタルの活用やビジネスの転換を発想する経験においては発展途上にあります。デジタルネイティブ世代である新入社員の皆さんには、ビジネスナレッジに加え、デジタルの専門知識、デザイン思考の3つをバランス良く持ち合わせた「デジタル人財」となり、デジタルを活用した成長戦略の構築・変革をけん引し、活躍されることを大いに期待しています。

次に私が皆さんに日々心掛けてもらいたいことをお話します。私が社長に就任した時から、繰り返し社員の皆さんにお願いしてきたことで、「チャレンジを大事にする」、「スピード感をもって行動する」、そして、「現場を大事にする」、の3つです。

まず1つ目は、「チャレンジを大事にする」です。
先ほどもお話ししましたが、今私たちの従来型のビジネスはディスラプションの脅威に晒されており、昨日と同じビジネスを続けていては生き残ることはできません。だから皆さんには、失敗を恐れず、どんどん新しいことにチャレンジしてほしい。最初は地道なビジネス提案や業務改善策の提示でも結構だと思います。私はもちろん、皆さんの上司がチャレンジを大事にする環境を用意することを約束します。
変化の時代です。知識やスキルの陳腐化も早い。それだけ、若い皆さんにもチャンスがあるということです。やったことのないことに挑戦するマインド、まだないものを嗅ぎとる力やセンスを常に磨いてください。

2つ目は、「スピード感をもって行動する」ことです。
世界はこれまでにないスピードで変化を続けています。世の中の社会課題、価値観の変化に向き合い、誰よりも早く一歩でも半歩でも先に踏み出すことで、未来をリードしていってほしいと思います。

3つ目は、「現場を大事にする」ことです。
コロナ禍で難しい面もありますが、皆さんには是非積極的に現場に足を運んでほしい。顧客自身も気づいていないような課題、社会やマーケットの変化はオフィスにいるだけでは見つけることはできません。顧客の話に耳を傾け、現場で何が起きているのか、現場の本当の課題は何か、と、常に五感を研ぎ澄ませて感じとってください。

続いて、皆さんの今日からの日常にも関わる「働き方」についてお話しします。
コロナ禍を経て、私たちの働き方は一変しました。
当社はいかなる時も社員や家族の健康と安全を最優先し、その時々の状況に応じて適切な対策を講じてきました。皆さんも、自身の成長や組織への貢献が最大化できるよう、在宅勤務と出社のベストミックスを追求してもらいたいと思います。
この1年の経験から、在宅勤務は、時間の有効活用や、時差のある海外とのコミュニケーションの円滑化など、様々なメリットがあることが分かりました。一方、人間関係の構築や人財育成、そしてお客様との新たな関係構築は、オンラインだけでは難しいということも私も含めて多くの社員が感じています。
皆さんも、再来週にはそれぞれの部署に配属されて業務をスタートすることになります。机上で学ぶことのできるビジネスのスキル・知識ももちろんありますが、先輩たちのやり方を観察すること、顧客と対面してフォーマル・インフォーマルなコミュニケーションを積み重ねることで学び取っていくものはとても大切です。
また、良い仕事をするには、社内外に広くネットワークを持ち、関係者との信頼関係を築くことが不可欠であり、そのためには対面のコミュニケーションに勝るものはありません。こうしたことを念頭において、皆さんにも適切な働き方を考えて頂ければと思います。

5月に移転する竹橋の新社屋は、全席自由席としています。通常の執務エリア以外にも多様な目的で利用できるスペースも多数あり、部署を超えたコミュニケーションや、社員一人ひとりが自律的に働き方を選択することのできる仕組みが整えられています。新しい働き方を創り出していくことも、私たちの挑戦の一つです。

ここまでお話ししてきたように、私たちは今まさに大きな変化の渦中にあり、新入社員の皆さんの中には不安をもっている方もいるかもしれません。しかしながら丸紅の160年におよぶ歴史を振り返ると、会社の先輩方は、大きな社会の変化が起きるたびに変化をチャンスとして取り込むことによって会社を成長させてきました。
我々も、新型コロナウイルス感染拡大による世の中の変化を、新入社員126名の皆さんと共にチャンスにかえていきたいと思います。
1年は短く、あっという間に過ぎていきます。一日一日をしっかりと積み重ね、一緒に丸紅グループを成長させていきましょう。

最後にもう1つ。笑顔を大切にしてください。丸紅社員がつまらなそうな顔をしていたら、お客様も一緒に仕事をしたいと思わないでしょう。
皆さんが笑顔で、元気に活躍されることに期待を込め、私からの訓示とします。
入社おめでとうございます。

以 上

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