2021年

オランダ・サーキュライズ社との業務提携について
~サーキュラーエコノミーの実現に向けたトレーサビリティ管理プラットフォームのアジア展開~

2021/02/09
丸紅株式会社

丸紅株式会社(以下、「丸紅」)は、オランダのCircularise B.V.(以下、「サーキュライズ社」)との間で、サーキュライズ社が開発するトレーサビリティ管理プラットフォーム(以下、「本プラットフォーム」)を日本およびアジアの化学品市場向けに展開することを目的とした業務提携契約を2021年2月8日に締結しました。今後、実証実験を進め、サーキュライズ社との合弁会社設立を視野に入れた事業化を目指していきます。

昨今、大量生産・大量消費・大量廃棄がもたらす資源・エネルギー不足が環境・社会問題となっており、サーキュラーエコノミー(循環経済)(以下、「CE」)の実現が求められています。一方、CE実現のためには、循環型サプライチェーンにかかわる各ステークホルダーが提供する製品・サービスに関して、透明性の高いトレーサビリティ関連情報等を共有することが必要不可欠となります。

本プラットフォームは、ブロックチェーン技術とゼロ知識証明(*1)をベースにサーキュライズ社が独自開発した「Smart Questioning」技術により、製品の設計・仕様、加工条件、リサイクル履歴等のトレーサビリティ関連情報や、カーボンフットプリント、リサイクル比率等の資源効率を示すデータ、企業のSDGs対応情報、第三者認証情報といった環境対応指標を、機密性を保ちながら選択的に開示することでサプライチェーンの透明化に貢献します。こうした技術が評価され、サーキュライズ社は、CE化を促進するソリューション提供企業として、2020年9月に欧州委員会より「EU Horizon 2020」(*2)対象企業に選出されました。

丸紅は、まずはプラスチック等化学品分野の取引先の参加を広く募り、本プラットフォームを活用した実証実験を進め、技術的有効性や今後強化すべき機能などを確認していきます。事業展開の際には、サーキュライズ社との共同事業契約を締結し、日本およびアジアで本プラットフォームの提供を開始する予定です。丸紅は、サーキュライズ社とお互いのリソースを活かし、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

(*1)暗号学において、ある知識を持っていることを、その知識に関する何の情報も明らかにすることなく証明する手法のこと。
(*2)全欧州規模で実施される、研究および革新的開発を促進するための欧州研究・イノベーション枠組み計画 Framework Programmeのこと。2014-2020年にわたり約800億ユーロ(約10兆円)に上るEUからの公的資金が投入されている。

以 上

【化学品分野の循環型サプライチェーンにおける本プラットフォームの概念図】 【化学品分野の循環型サプライチェーンにおける本プラットフォームの概念図】

本プラットフォームでは、ブロックチェーン技術を用いて、使用原料に関するトレーサビリティ関連情報や環境対応指標を実際の物流に連動した形でソフトウェア上にバーチャルで再現し、デジタルツイン(*)を実現します。川上のステークホルダーが出荷時に製品情報を記帳(情報アップロード)し、川下のステークホルダーが製品を消費する際に記帳消込をします。ブロックチェーン技術によりトークン化されたこれらの情報は書き換え不能なため信頼性が高く、情報の透明性が担保されます。更に、「Smart Questioning」技術により、各ステークホルダーによって情報を選択的に開示することができます。

例えば、自動車業界において川下のステークホルダーがあるプラスチック成型品の原料情報を知りたい場合、自動車メーカー(上図のOEM・ブランド)や加工・成型メーカーを通じて段階的に樹脂メーカーへ問い合わせるのではなく、本プラットフォーム上で、プラスチック成型品の仕様からリサイクル履歴・比率といった環境対応指標まで確認することができます。また、製品情報をアップロードする際に開示したい情報を設定できるため、川上のステークホルダーは、センシティブな情報も機密性を保って選択的に開示することができます。

(*)現実世界にある情報・データをリアルタイムに仮想世界に送り、現実世界と同じ状態を構築すること。

 

【サーキュライズ社 概要】
会社名 Circularise B.V.(サーキュライズ)
本社所在地 Wilhelmina van Pruisenweg 35, 2595 AN, Den Haag, Netherlands
設立 2016年7月
事業内容 トレーサビリティ管理プラットフォームの開発
HP https://www.circularise.com/

 

Circularise

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