2021年

セメントキルン排ガスからのCO2分離・回収実証試験のための設備設置について【丸紅プロテックス】

2021/04/21
丸紅株式会社

太平洋セメント株式会社(以下、太平洋セメント)は、セメントキルン排ガスからCO2を分離・回収する技術における、国内初となる日量10トン規模の実証試験を実施するにあたり、丸紅プロテックス株式会社(以下、丸紅プロテックス)が日本国内で販売を開始した英国Carbon Clean Limited(以下、CCL)製の化学吸収技術を利用した設備(以下「本設備」)を採用することといたしました。
本設備は太平洋セメントの熊谷工場(埼玉県熊谷市)内に設置し、2021年9月から実証試験を開始します。

太平洋セメントは、CO2排出削減を重要な成長戦略と位置づけ、2020年3月30日に「2050 年を展望した温室効果ガス排出削減に係る長期ビジョンの具体的な施策」を策定しました。長期ビジョンに掲げるCO2削減実現のためには、既存技術の応用・発展に加え、革新的技術を開発し、コストも含めて実用可能なレベルに高めることが必須です。現在取り組んでいる革新的技術のうち最重要案件は、セメントキルンに適した実用的なCO2回収・カーボンリサイクル技術の開発であり、この技術開発は、2020年6月に国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「炭素循環型セメント製造プロセス技術開発」の助成先として単独で採択されました。また、2021年4月1日には社内横断組織の「カーボンニュートラル技術開発プロジェクトチーム」を新設し、同チームを中心として技術開発に取り組んでいます。

CCLは、産業プラント排ガスから高効率・低コストでCO2を分離・回収する技術を有しており、2015年の世界経済フォーラムでは革新的な技術を開発した企業を表彰する「技術パイオニア」に選出されています。米国、英国、ドイツ、インド、ノルウェー、オランダ等で採用された実績を持ち、現時点で商業化されているCO2分離・回収技術の中で世界最高水準のコスト競争力を実現しています。

丸紅プロテックスは、こうしたCCLの技術に着目し同社へ出資した丸紅株式会社の100%子会社であり、従来の機械系商社の域を超え、国内外の様々な機材・建設複合案件へ取り組み、これまでの実績を生かし、本設備の販売を進めています。今回が日本における初めてのCO2分離・回収プラント導入実績となり、今回の導入を足掛かりに今後もCCLとともに本設備の普及・拡販を進めてまいります。

セメントキルン排ガスからのCO2回収においては、セメント工場に設置可能なコンパクトな設備とセメントキルン排ガスに適したアミン吸収液の実用化が必須条件であり、本設備がそれらの条件を満たしている点を高く評価し、本設備の導入を決定しました。

セメントキルンに適した実用的なCO2回収・カーボンリサイクル技術の創出は、セメント産業の将来に繋がる最重要案件です。本設備を用いた技術実証を踏まえて社会実装可能な技術を確立することにより、2050年までに実質的なカーボンニュートラルを目指します。

<本設備の概要>

発注者 太平洋セメント株式会社
受注者 丸紅プロテックス株式会社
Carbon Clean Limited
事業名 NEDO課題設定型助成事業「炭素循環型セメント製造プロセス技術開発」
設備設置場所 太平洋セメント株式会社熊谷工場(埼玉県熊谷市)
設備内容 CO2分離・回収設備(化学吸収法10トン-CO2/日)
工期 2020年11月~2021年9月

<本件に関する問合せ先>
太平洋セメント株式会社  総務部IR広報グループ  TEL:03-5801-0334
丸紅プロテックス株式会社 ビジネス開発推進室  TEL:03-6744-5848

 

丸紅プロテックスのリリースは下記よりご覧いただけます。

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