2020年

緊急医療搬送補助システムの全国展開に向けた戦略的パートナーシップの締結について

2020/11/18
丸紅株式会社
国立大学法人岡山大学

丸紅株式会社(以下、「丸紅」)と岡山大学病院産科婦人科(以下、「岡山大学」)は、岡山大学発の医療ITベンチャー会社である、そなえ株式会社(以下、「そなえ社」)と丸紅新電力株式会社(以下、「丸紅新電力」)を通じて、妊婦のかかりつけ医療機関(以下、「搬送元施設」)と高次医療機関(以下、「搬送受入施設」)の情報共有を円滑にするために2017年3月に岡山大学で開発された、緊急医療搬送補助システムアプリ「iPicss®(アイピクス、以下、「iPicss」)」を全国展開し、新たなプラットフォームを構築することを目的に、戦略的パートナーシップに係る契約(以下、「本パートナーシップ契約」)を締結しました。

日本国内の周産期(*1)医療現場では、緊急搬送時の患者情報の共有を、紹介状等のFAX送信や搬送受入施設到着後に行っているケースがほとんどであり、情報伝達方法の不便さや情報の過不足による医療従事者への業務負担が大きくなっています。このような問題の解決に繋がる、迅速でかつ確実な情報連携のためのシステム構築が求められていました。

iPicssは、搬送元施設にて専用の搬送用チェックシートを記入し、予め各施設に配備されたスマートフォンなどのカメラで撮影したものを、搬送受入施設に送信することで情報連携を円滑に行うことができます(以下、図参照)。2017年8月より岡山大学の主導でiPicssの導入に向けた検討を開始し、2019年5月からは、岡山県内全域の全ての分娩施設を対象とした実証事業を開始しました。また、Society5.0 (*2)に通じる、災害発生時の病院・患者情報連携やCovid-19感染者の搬送への対応が可能なシステムとしても実証が進んでおり、来年以降は、患者搬送を担う救急隊(自治体の消防)とも情報連携を行うシステムが本格稼働する予定です。

本パートナーシップ契約では、第一弾として、そなえ社が持つiPicssを活用した情報連携システムの全国展開を促進し、医療現場の根幹を支える新たなプラットフォームへと成長させるべく、丸紅新電力の医療機関向け電力小売メニューとセットでiPicssの普及を行っていきます。

丸紅は、中期経営戦略「GC2021」において、今後の成長領域、新たなビジネスモデルの構築を見据えたWhite Spaceへの取り組みを強化することを掲げており、丸紅グループとしての総合力とそなえ社の医療業界における高い専門性を掛け合わせることにより、患者の安心・安全を担い、新たな電力サービス事業の可能性を追求しながら、医療業界を底支えするシステムの構築を目指します。

岡山大学は、「iPicss」を始めとするICTを活用した各種サポートシステムを広く地域・世界に普及させ、安心と健康を届けるべく、岡山大学発ベンチャーとしてそなえ社を創業しました。今後も、先人達から受け継ぐ慈愛に満ちた医の精神と大学ならではの革新的創発力を発展させ、STI(Science, Technology, Innovation) for SDGsを通じた新たな価値創造に取り組み、皆さまのウェルビーイングの向上に貢献していきます。

(*1) 周産期:「妊娠22週以降から生後7日未満」の期間をいい、母児の生命に関わる緊急事態が高率に発生する時期を指す。
(*2) Society5.0:科学技術基本法に基づき、内閣府が提唱する未来社会のコンセプト。サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、新たな未来社会(Society)を“Society 5.0(ソサエティー5.0)”として提唱。

■緊急搬送補助システムアプリ「iPicss」について(図)

■緊急搬送補助システムアプリ「iPicss」について(図)
■会社概要
<丸紅新電力>
会社名 : 丸紅新電力株式会社
所在地 : 東京都中央区日本橋二丁目7番1号東京日本橋タワー
設立年 : 2011年1月
代表者 : 山本 毅嗣
事業内容 : 電気の売買事業およびその代理、代行、仲介、インターネット接続サービス、省エネ機器販売
     
<そなえ社>
会社名 : そなえ株式会社
所在地 : 岡山市北区西古松二丁目26番22号
設立年 : 2020年9月
代表者 : 正野 隆士
事業内容 : 患者・妊産婦・高齢者等の搬送に関する情報連携システムの構築事業、新電力代理店業務など

以 上

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