2020年

2020年 社長年頭挨拶

2020/01/06
丸紅株式会社

本日9時より東京本社で行われました、当社社長柿木真澄による年頭挨拶を下記の通りお知らせします。

 

 

1.はじめに

新年明けましておめでとうございます。
今朝はリフレッシュした新しい気持ちで、2020年最初の営業日を迎えています。

昨年4月の社長就任とほぼ同時に新中期経営戦略GC2021を発表して、既存ビジネスの強化と新しいビジネスへのチャレンジの両輪により、持続的成長と爆発的成長を同時に追求する事に取り組んで来ました。
決して簡単ではないこの取り組みには、皆さん1人1人のやる気が最も重要です。ですから、そのために、昨年は、出来る限り、皆さん1人1人と話をする機会を作り、GC2021達成に向けた意識改革とマインドセットについて、意見交換をさせてもらいました。
本社員のみならず、国内外の事業会社の皆さんと意見交換した場でも、たくさんの気付きや発見がありました。特に、多くの皆さんが「自分たちにとってのホライゾン1・2・3は何か」を考えてくれていた事は、非常に頼もしく、印象に残っています。
1人たりとも斜に構えてほしくないと言ってきましたが、その方向に確実に進んでいると思います。
2020年は、この流れを更に一歩先に進めたい。新しいマインドセットで、案件実現に向けて実行する年にしてもらいたい。実行をテーマに挑戦を続けていく一年にしたいと思います。

2.当社を取り巻く経営環境

ここで、当社を取り巻く経営環境について、3点、お話しします。

1つ目は、世界経済・世界情勢についてです。
昨年を振り返ると、米中対立、それに伴う中国経済減速懸念、BREXIT、香港デモ、中東情勢、足元では米イラン関係の緊張の高まり、台風など自然災害の多発など、不安定で不確実性の高い時代へ突入したと感じる出来事が数多くありました。
2020年は、東京オリンピックなど楽しみなイベントもありますが、世界経済については、景況感について話をしても誰とも意見が一致しない様な先の見通しづらい状況です。11月の米国大統領選挙までは現在の米中関係が根本的には変わらず、米国の景気拡大の終焉、中国の安定成長期への移行による世界景気の停滞を予想する見方もあります。

2つ目は、技術革新です。
2020年には、日本をはじめ多くの国で5Gサービス普及が本格化します。4Gの100倍の通信速度を持つ5G、多重同時接続、超低遅延などが実現され、IoTの普及が爆発的なものになると言われています。
10年前を想像してみてください。スマートフォンは一般的になりつつありましたが、現在の生活が想像出来たでしょうか。テクノロジーの進化により、この10年の社会、そして我々の生活は激変しました。AIやブロックチェーンなど、数々の技術進歩、イノベーションによって、これからの10年で、過去の10年以上に大きく世界は変化していくはずです。

3つ目は、サステナビリティです。
大きな世の中のトレンドを見ても、これまでのグローバリゼーションが前提としてきた右肩上がりの成長や安いものを選んでお金を払うという考え方が変化しているのではないか。
「便利で安価、且つ大量消費」という社会から、「適切」な方法で「適正」な価格のものを「適量」消費していくサステナブルな社会へと一層シフトしていくことが考えられます。

また、脱炭素化の動きから、再生可能エネルギーへの完全移行はまだ難しいかもしれませんが、化石燃料、中でも石炭火力は、相当速いスピードで淘汰されていくでしょう。
この流れは今後、増々加速していくものと思われます。最早、サステナビリティへの対応をしないと世の中に置いて行かれてしまいます。サステナブルである事を重視して、財務的価値だけではなく地球そのものを大事にする発想が我々に必要です。

世の中の流れは非常に速い。何が起きるか分かりません。GC2021は10年先を見据えて作成した中期経営戦略ですが、常に10年先を見ていないと時代の流れにあっという間に乗り遅れ、突如として目の前に危機がやってくるかもしれないという覚悟を持ってください。
今、取り組んでいるビジネスが、あっという間に廃れてしまう、或いは、遠い先の話だと思っていた事が、あっという間にビジネスの常識となっていく。そんな世界の中に我々はいるのです。

皆さんは、これらの大きな変革をどの様に考えているでしょうか。世の中の仕組みが大きく変わる、そんな時こそ、まさに丸紅の実力が試されるのです。私は、商社は世の中のギャップを埋め続ける永遠のパートナーだと言い続けています。ギャップとは、見えにくい未来と現在の間のギャップ、社会課題です。
この世の中の変化を大きなチャンスと考えられない様では商社パーソンとして失格です。世の中の社会課題、価値観の変化に対して、真剣に向き合い、勇気を出して一歩先に踏み出すことで、これまでの常識を乗り越えて、自ら将来を切り開く。そして更なる高みを目指す。それが、今、丸紅に求められる在り方です。

3.GC2021現状と今後

今年度よりスピードを上げて成長戦略を実行するため、4階層から3階層へ営業組織をフラット化すると共に、全社最適な観点から新しいビジネスモデルを創出する次世代事業開発本部を新設しました。

ここ数年で財務規律をしっかりと固めてきた結果として、新しいチャレンジが出来る体制が整い、新規投資についてはパイプラインが着実に積み上がっております。また、今年で2回目となるビジコン2019には、国内外から100件以上の応募がありました。選び抜かれた9件に関して最終コンテストを今月開催しますが、既存ビジネスの領域にとどまらない新たなアイディア、提案を、今から大変楽しみにしています。
皆さんには、自分自身の課や部だけでなく、他の部や他の本部がどんな事に取り組んでいるのかも、是非、興味を持って見て頂きたいと思います。現状の商品軸にとらわれない新しいビジネスモデルを作り上げるヒントが必ずあるはずです。そして、それが組織の壁を越えていくGlobal crossvalue platformの第一歩につながります。
GC2021の一つの柱である人事制度改革については、処遇制度のみならず採用制度に至るまで、人事制度全域について議論を重ねています。年度内には新人事制度の全体像を皆さんにお話しさせて頂く予定です。全社員が同じ意識を持って挑戦していく事が出来る、「適材適所」の実現を目指していきたいと思います。制度改革を本当の意味で実現するためには、制度自体の変更だけでは不十分です。会社の文化や考え方も変えていかなければ効果がありません。皆さんと一緒になって改革に取組んでいきたいと思います。

4.皆さんに心がけて頂きたいこと

4月の就任時に、皆さんに心掛けてもらいたいこととして「チャレンジ」・「スピード」・「現場主義」の3つをお願いしましたが、皆さんのマインドセットに特に挑戦が定着してきた、社内の雰囲気は着実に変わってきたと実感しています。

挑戦は新しいビジネスモデルだけでなく、既存のビジネスモデルにも必要です。同じビジネスモデルで永遠に勝ち続けることは出来ません。勝者も敗者も常にチャレンジが必要なのです。そして、チャレンジに失敗はつきもの。失敗してもいいとは言いませんが、成功体験しかない人は逆に恐い。
現場にある情報、アイディアに耳を傾けてしっかりと分析したら、時機を逸することが無い様に、スピード感をもって、失敗を恐れずに新たなチャレンジに一つでも多く取り組んでください。
皆さんの挑戦はしっかりと受け止めて、これはというものはきっちりとサポートしていく事を約束します。

5.最後に

2020年は、GC2021の中核となる2年目です。GC2021達成に向けて非常に重要な1年。実行をテーマに挑戦を続けていく年です。
変革の時代、読みにくい時代は総合商社の時代。危機の二つの「き」の内、二つ目の「き」は機会の「機」です。世の中の危機の中にあるチャンスをものにすべく、今年も頑張っていきましょう。

最後になりますが、この1年、皆さん、健康にはくれぐれも留意し、元気に活躍されることを期待しています。皆さんと皆さんのご家族のご健勝とご活躍を祈念し、私の新年の挨拶とさせて頂きます。

2020年も、どうぞよろしくお願い致します。
ありがとうございました。

以 上

年頭挨拶の様子

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