2019年

2019年度入社式 社長訓示

2019/04/01
丸紅株式会社

皆さん、おはようございます。本日社長に就任した柿木です。皆さんの入社を歓迎します。私自身、新米社長ということでかなり緊張しております。みなさんも緊張しておられることでしょうが、今この瞬間、日本そのものが新しい元号を授かるという意味で緊張に満ち溢れていると思いますので、その緊張感を一気に利用して、訓示をさせて頂きます。

新入社員に向けた最初のメッセージとしていろいろ原稿を準備してきましたが、皆さんはもうこの瞬間から丸紅社員ですから、急遽、社員全員に伝えようとしているメッセージをそのまま入社式の訓示とします。

さて、新米社長候補として、本日まで毎日、社内外のいろいろな人たちにご挨拶してきましたが、そこでいただくお話しの端々から「丸紅に対する期待」の大きさを、改めて感じています。

「丸紅への期待」は私たちの存在意義そのものであると思います。私は「商社は世の中のギャップを埋め続ける永遠のパートナー」だと考えています。地理的なギャップを貿易で埋めてきたのが20世紀。21世紀に入ってからは、将来的な価値と現在の価値のギャップを投資で埋めてきました。そして今私たちが埋めることを期待されているギャップは「見えにくい未来を見えるようにする」という、新しいギャップだと感じています。

入社したばかりとはいえ、丸紅の社員なので、皆さんもわかっていることと思いますが、ここ数年、経済も、技術も、政治状況も、地球全体のレベルで急ピッチに変化しています。新しいギャップは、そういった混沌とした状況のなかで生まれてくるので、ギャップそのものも、その位置や深さを知ることは簡単ではなく、またギャップ同士が突然つながったり切れたりもする。なんともやっかいです。

しかし、丸紅への期待は、そんな状況のなかでも「常にリードオフマンであり続けること」なのだと思います。リードオフマンとは、チームやグループを先頭に立って引っ張っていく人、という意味です。つまり丸紅という会社が、世の中を引っ張っていく存在であり続けるということです。

そのためのキーワードは「チームワーク」。誰一人としてムダな人がいない、走れるチーム。一人でも斜に構える人がいたらダメです。熱くならない人がいてもダメです。とにかく前向き。チームで考え、行動し、失敗し、創造するということだと思います。失敗してもいい。失敗をDisaster、どうにもならない危機的状況にしないこと。そして敗者復活で人材を育てる。若い人が腕まくりし、ベテランがニコニコしてそれを支える――丸紅がそんな場であれば、私たちはきっと、ギャップを埋め続けるリードオフマンとしての期待に応えられるはずです。商社のビジネスは分かりづらいし説明しづらい。でも、分かりづらくて結構。一言で片付けられないからこそ付加価値が生じるし、丸紅の存在意義もあるのです。

新しい時代です。この道のプロであるとか、経験があるとかいう自負はたいして役に立たないでしょう。それよりも、やったことのないことに挑戦するマインド、まだないものを嗅ぎとる力やセンスを磨いてください。需要をテコに動く、つまり当社で言えば、社会課題を先取りして時代が求める価値を創出することをDemand Pullと呼んでいます。供給、つまりSupplyする側にまわって、常にあるものをPushしてお客さんに買わせるといったものが今までの流れだったところを、お客さんの需要を嗅ぎ取って、それを引っ張り出そうというのがDemand Pullです。でも、私はみなさんにそれを超えてほしい。人々の夢を形にする、Dream Pullを目指してほしいと思います。Demandはもうあるものを嗅ぎ取りますが、Dream Pullはお客さんの夢、お客さん自身もこの夢がどういった需要になるのかもまだ分かっていない、といった状況からその夢を汲み取って、一緒に創造していく、満たしていく、そういう役割をぜひ担っていただきたいと思います。

そして笑顔。
私は、社員みなさんと話すときには一人ひとりの顔をじっとみつめます。つまらなそうな顔をしている人がいると、気になって仕方がありません。「なにがそんなにつまらないの?」とつい聞きたくなってしまう。ワクワク感、好奇心がない人は、私にとって必要ありません。なぜなら丸紅社員がつまらなそうな顔をしていたら、お客様も一緒に仕事をしたいと思わないでしょうから。ちなみに私の表情はわかりにくいかもしれませんけど、これでも笑顔です。

おもしろきこともなき世をおもしろく――私の座右の銘です。私のところに話をしにくるときには、笑顔で来てください、いつもそう思っています。

私は、新社長としてみんなが活躍できる場をつくります。

とがった丸になれ、丸紅。みなさんの挑戦と、ワクワクする気持ちを、歓迎します。みんなで冒険しましょう!
入社おめでとうございます。

以 上

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