2017年

2017年 社長年頭挨拶

2017/01/04
丸紅株式会社

本日9時より東京本社で行われました、当社社長國分文也による年頭挨拶を下記の通りお知らせします。

 

 

1. はじめに

新年明けましておめでとうございます。新たな気持ちで新年を迎え、こうして2017年の仕事始めの日を皆さんと一緒に迎えられたことを嬉しく思っています。

それではまず初めに、世界的な潮流の変化ついて3点ほどお話しし、私の新年の挨拶をはじめさせて頂きたいと思います。

 

2. 潮流の変化

1つ目はグローバリズムの潮流の変化です。

これまでも過去10数年を振り返り、“世界経済の潮目は変わった”という話をしてきましたが、今、起きている事は、これまで築き上げてきた価値観や枠組みそのものを根本的に変えるものではないかと感じます。英国のEU離脱、そしてトランプ政権の誕生という2つの大きな事象が示唆するように、世界的に保護主義・自国利益優先主義の流れ、非寛容の流れが広がりつつあると感じます。これは80年代後半から大きなうねりとなった米国主導による新自由主義的なグローバリズムが終焉を迎えつつあるということでもあります。この流れの変化は経済・貿易・事業活動など幅広く影響を与えるでしょう。

例えば、自動車産業や繊維産業等、様々な分野における物・サービスの流れ、従来の地域自由貿易の枠組みを前提としたサプライチェーンへの影響は避けられないでしょうし、そして何よりもグローバル化により最も恩恵を受けていた中国はじめ新興国にとってはネガティブな要素になろうと思われます。更に、世界各国のエネルギー政策、安全保障政策、環境政策等、従来のグローバリズムを前提としたポリシーが抜本的な見直しをせまられる可能性もあります。我々が世界でビジネスを展開していくにあたっては、グローバル経済全体の流れを大局的に掴むと同時に、国や地域毎の精緻な戦略、まさに我々の戦略であるグローバルの中のローカル、が求められるでしょう。

 

そして2つ目は、金融情勢の変化です。

米国が昨年末に一年ぶりに利上げをしましたが、世界的な超低金利、金余りの状態が少しずつ変化しつつあるのは明らかです。加えて金融機関に対する規制強化(バーゼル3等)が見込まれる中で、これまでのように安い資金を誰でもいくらでも調達できるという時代は早晩、終焉するでしょう。企業にとっては、しっかりとした土台、すなわち健全な財務基盤がビジネスを継続する上での大前提である、と改めて認識する必要があります。

もう一つ、米国の利上げが本格的なサイクルになれば、グローバル化の変調とも相俟って、新興国からのマネーの流出、米国への回帰が加速するリスクがあります。結果として新興国経済に打撃が及ぶというシナリオも十分に考えられます。

 

こうしたグローバリズムの潮流の変化、金融環境の変化は、我々にとりネガティブな要素をはらむものであり、十分に留意してゆく必要があります。

 

一方で、我々にとり機会を生み出す3つ目の大きな流れは、技術革新、特に情報技術の飛躍的な進歩です。

産業界におけるIoTや人工知能、ビッグデータなどの情報技術は、我々の想像を超えて進化しており、ビジネスの在り方を変えるほどのインパクトを与え始めています。まさにGame Changeがはじまろうとしているということです。

我々のビジネスにおいても、IoTや人工知能、ビッグデータなどの情報技術の活用は、自分とは遠い世界で起きている他人事ではなく、情報技術の飛躍的な進歩が、既存ビジネスの変革、別次元のビジネスモデルを創造する機会であることをよく認識する必要があります。

 

3. 「知の勝負」の時代 (当社がすべきこと)

ここまで潮流の変化についてお話をしましたが、こういった様々な変化が起こる中、キーワードは「知の勝負」だと考えています。

 

これまでのように、投資して資金を投入しアセットを取得、そのアセットから得る利益を積上げて成長していくという発想から、更に進んで、そのアセットを使って、次に何をやるのかという戦略を描くこと、1+1を2ではなく、どうやって5にするのか、6とできるのか、そこにどれだけ知恵を絞ることができるかが勝負となる時代がきているのではないでしょうか。

ビジネスモデルの進化は、何も情報技術によるものだけではありません。つまり、当社グループが持っている資産を如何に活用し、バリューをあげるかということです。
丸紅グループには、豊富な質の高い人材、多様なビジネスモデル、幅広い顧客ネットワーク等の優良なアセットがあります。これは巨大なビジネスプラットフォームだと考えています。これをどのように使って新たなビジネスを創出するかは我々次第。新たな高みへ当社を進化させていけるかどうかは、我々の知恵と努力次第です。

繰り返しになりますが、これからは「知の勝負」の時代です。「知の勝負」といってもオフィスに座って考えるだけでは、何の新しい知恵も生まれません。現場力を駆使して顧客と全身全霊で向き合い、顧客のニーズに対する感性を研ぎ澄まし、走り回りながら本質を常に考え、絶えずより良いことを追求していくマインドこそが大事だということです。

 

4. おわりに

GC2018の初年度・2016年は厳しい経営環境でしたが、皆さんの努力と頑張りにより様々な施策を進捗させています。現場力の強化、海外強化に向けた布石も打ってきており、今後成果として確実に現れてくると思います。その意味で、2017年はGC2018完遂に向けた“勝負の年”になります。
又、先程申し上げましたが、2017年は、ひょっとしたら何十年か後に、Game Changeの年(大きな節目の年)であったと語られる年になるのではないかと考えます。考え抜く強さ、やるべきことをやり抜く強さを持つことが重要です。

 

最後になりますが、この1年、皆さん、健康にはくれぐれも留意され、元気に活躍されることを期待しています。皆さんと皆さんのご家族のご健勝とご活躍を祈念し、私の新年の挨拶とさせていただきます。

 

ありがとうございました。                    

 

以 上


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