2016年

2016年 社長年頭挨拶

2016/01/04
丸紅株式会社

本日9時より東京本社16階講堂で行われました、当社社長國分文也による年頭挨拶を下記の通りお知らせします。

 

 

新年明けましておめでとうございます。

今年の干支は「丙申(ひのえさる)」です。

「丙(ひのえ)」とは、かまどの中の火を表現したということで、「甲」で芽を出し、「乙」で伸び悩んでいた陽気が、「丙」でいよいよ盛んになるという意味だそうです。 また、「申(さる)」は「伸びる」の原型で、物事や新しい動きが伸長していく様子を表しています。今年は、世界中で様々な火種が勢いを増し、先行きが見通しづらい年になると思われますが、そうした中でも、丸紅グループにとっては、まさに成長に向かってしっかりと進んでいく、そういう年にしたいと思います。

それでは、2016年の仕事始めにあたり、世界の丸紅グループの皆さんに向けて、新年の挨拶を申しあげたいと思います。

 

1.当社を取り巻く経営環境

いま世界は「時代の転換点」を迎えていると言っても過言ではありません。世界のあちらこちらで既存の秩序が揺れ動き、一方で新たな潮流が生まれつつあると感じます。


ひとつは、グローバルなマネーの変化です。

米国は先月、実に9年半ぶりの利上げに踏み切りました。長い間、過剰流動性に慣れきっている我々は、これまでのような、安い資金が、誰でも、いつでも調達できた時代は終わったということを認識し、マインドセットを切り替える必要があります。


次に、新興国経済の行方です。

特に、リーマンショック後の世界経済を牽引してきた中国ですが、高度成長から新常態(ニューノーマル)への移行がスムーズに進むかどうか、最大の焦点です。また、新興国経済の減速が予想される中では、当面、資源価格の本格的な回復は難しいと考えざるを得ません。


三つ目は、不透明な国際情勢です。

中東情勢を巡っては、イスラム国の台頭や多発するテロ行為、欧州への難民流入などを背景に、世界各国で排他主義的な動きが強まっています。米国の影響力が低下するなかで、制裁下で存在感を誇示するロシア、攻勢を強める中国など、各国間の主導権争いがより複雑化しています。こうした動きが、世界経済の減速傾向を助長するリスクが高まっています。

一方で、個別の市場や分野を見渡せば、様々なオポチュニティが広がっています。

米国では順調な景気回復が予想され、世界の成長市場の中心として、ビジネス拡大のチャンスだと考えられます。成長鈍化が予想される新興国においても、中国やアジア諸国を中心とした旺盛なインフラ需要に加え、分厚い中間層が生まれつつあり、消費市場は急速に拡大しています。また、発展途上ながら成長著しいアフリカ、制裁解除に向かうイランやキューバ、新政権の手腕が試されるアルゼンチン、ミャンマーなど、あらたな市場の開放・拡大が期待されます。産業分野においては、IOTや人工知能、ビッグデータといった情報技術が急速に進化しています。

こうした世界の新しい潮流は、将来のビジネスに大きな期待を抱かせます。世界の変化をしっかりと見極めて、グローバルな競争を勝ち抜いていかなければなりません。

 

2.丸紅グループの在り姿

当社グループの2020年に向けた在り姿をひと言でいえば、海外を徹底的に強化し、海外に強い丸紅の実現、ということです。すなわち、それぞれの分野・領域で、まずは世界のトッププレイヤーと競争できるレベルの実力を身につけ、そして、その競争を勝ち抜くことによって、強靭な、真のグローバル企業グループを目指すということです。


国内もこれまで通り、重要であることに全く変わりはありませんが、当社がこれから大きく飛躍するための最大のポイントは、海外の成長を如何に取り込んでいくかだと思います。


翻って、例えば、当社が強みを持つ、電力やインフラ、農業資材、穀物や輸送機・ライフスタイルの一部の分野などは、いずれも長い年月をかけて、それぞれの地域で地場に密着し、内需の成長を取り込み、知見と実績を積み上げながら成長してきました。こうした地場に根をはった、プラットフォーム型のビジネスを今後一層強化すると同時に、あらたな柱をひとつでも多く増やしていくことで、海外に強い丸紅を実現していきたい、ひいては、地域経済や社会の発展により一層貢献していきたいと考えています。

 

3.皆さんに期待したいこと

皆さんには是非、「人間としての総合力」を磨いて頂きたい。

まずは「外部から評価される人」、「マーケットバリューの高い人」、そして「マーケットや現場で勝負して勝ち切れる人材」、になって頂きたいということです。また同時に、そういう部下を育てて頂きたい。文化や価値観が全く異なる相手と真剣勝負して、強かに勝ち切る力が必要だと思います。


そのためには、現場力を養うことが何よりも重要だと考えています。若いときから、現場での経験を積み、顧客や市場と対峙しながら、上司からの指示待ちではなく、常に自分で考えて、判断し、行動し、外にでること、そしてその結果に対して責任を取るということです。グローバルに通用するとは、まさに「総合力」の勝負だと思います。


コンプライアンスにおいても、同じことが言えます。やはりベースは、人としての軸をしっかりと持っていること、人間として綺麗であること、超えてはならない一線を自分の中にしっかりと持つこと、つまるところ、ここが「人間力」の原点ではないでしょうか。


最後にもう一つ、皆さんに心掛けて頂きたいのが、オープンなコミュニケーションです。いま世界では、自分以外の価値観や考え方を受け入れない、寛容さが失われつつあるのではないかと感じます。こうした時代だからこそ、自由闊達でオープンなコミュニケーションが何より重要だと思います。自由なコミュニケーションは組織の活力を生み、生産性を高めることにつながります。コミュニケーションが活発な組織は、活力があって、成績が良いことが科学的にも立証されています。是非、日頃から、社内のみならず社外の取引先やお客様とのオープンなコミュニケーションを心掛けて頂きたいと思います。

 

4.最後に

2016年は、”A”PLANを断行した2001年からちょうど15年目の節目の年となります。今では、本社員の約半数が当時を知らない世代となっていますが、今ここにいる我々が、あの時の辛い思いや経験を風化させることなく、次世代へとしっかりと引き継いでいかなければなりません。節目となるこのタイミングで、皆さん各自でもう一度、”A”PLANを振り返っていただき、あの時代には絶対戻らない、二度と繰り返してはならない教訓として心に刻んで頂きたい、そして、丸紅グループのあたらしい未来を築いていきたいと考えています。


最後になりますが、この1年、皆さん、健康にはくれぐれも留意され、元気に活躍されることを期待しています。そして、今年も、明るく、楽しく、仕事をしていきましょう。

皆さんと皆さんのご家族のご健勝とご活躍を祈念し、私の新年の挨拶とさせて頂きます。

ありがとうございました。

 

以 上

2016年 社長年頭挨拶

一覧に戻る