2026年4月よりCFOに就任しました。当社は世界の高みに向けた着実な成長を続けることで、長期的な目標として時価総額で世界100位圏内に入ることを目指しています。
この目標に向かって成長を加速させる3年間と位置付けた中期経営戦略GC2027の2年目にあたり、これまで当社が築いてきた企業価値向上に向けた道筋をしっかりと受け継ぎ、更に進化させながら、既にお示ししている戦略を遂行することでステークホルダーの皆様へのコミットメントを達成してまいります。
キャッシュ・フロー経営の深化
まずGC2027で掲げる「キャッシュ・フロー経営の深化」についてです。既存事業からの基礎営業キャッシュ・フローの最大化と投資の回収促進によりキャッシュ創出力を強化し、創出したキャッシュは優良な成長投資に優先配分し、更なる企業価値の向上を実現する方針です。
2025年度実績では、基礎営業キャッシュ・フローと投資回収により8,519億円のキャッシュ・インフローを創出することが出来ました。
基礎営業キャッシュ・フローについて、2025年度は予算を上回る5,751億円となりましたが、これに満足することなく2026年度は更にスピード感を持って積み上げ、過去最高となる6,600億円の予算達成を目指します。また、投資回収の取り組みでは、資本効率(ROIC)が低く拡張性が限定的な事業等の売却を計画的に進めており、GC2027の3カ年計画である6,000億円に対し2025年度末までに2,768億円を回収し高い進捗率となっています。
当社が目指すキャッシュ・フロー経営は、単にキャッシュを積み上げることを目的としたものではありません。会計上の利益だけでなく、「基礎営業キャッシュ・フローの成長」と「ROICとWACCのスプレッド拡大」を同時に追求し、その結果を企業価値の最大化に繋げていきます。
GC2027の折り返し地点である2026年度も、引き続き基礎営業キャッシュ・フローを伸ばし投資回収を促進することで、キャッシュ・インの最大化を追求してまいります。
ROEの向上に向けた戦略的資本配分
次にROEについてです。ROE目標15%の達成は、GC2027で掲げた各種目標の中で最も重要であると考えており、CFOとして私が最も注力していきたいと考えている目標です。
前述の最大化したキャッシュ・インフローを、成長投資と株主還元にしっかりと振り分けて「稼ぐ力(純利益)」の伸長と、「資本の最適化」に両輪で取り組んでいく、これが基本方針であり、この最適なキャピタル・アロケーションの実行によりROEの向上を実現していきたいと考えています。
まず「稼ぐ力の強化」については、当社のバランスシートの左側、資産サイドから生み出される収益の最大化を目指します。
当社の資産ポートフォリオにおいて、資源権益はコスト競争力に優れており、ROICは約14%と現在の商品市況下においても高い資本効率を示しています。一方で、非資源分野のROICは約7%と改善の余地が大きいと考えています。その非資源分野においても、当社が勝ち筋として位置付けている「戦略プラットフォーム型事業」は主要7事業の平均ROICが約10%と(相対的に)高い資本効率を示しており、ここに集中的に資本配分をしていく戦略です。
GC2027の3カ年では、成長投資への資本配分1.7兆円のうち、約7割にあたる1.2兆円を戦略プラットフォーム型事業に機動的かつ集中的に投じる方針としていましたが、2026年8月3日に公表した資本配分の見直しにより、新規投資・CAPEX等への資本配分枠を従来計画から2,500億円増額し、総額1.95兆円へ拡大しました。引き続き戦略プラットフォーム型事業を中心とした高ROIC案件への投資を優先することで、ポートフォリオにおける同事業群の比率を高めていきます。
また、ポートフォリオの更なる良質化に向けて、資本効率を重視した事業ポートフォリオの入れ替えを着実に進めています。2025年度実績では、資本効率が低い・成長戦略を描けない・収益性がピークアウト傾向にある事業(これら事業の平均ROICは1%程度)の売却を進める一方で、新規に投資した戦略プラットフォーム型事業のROICは平均7%程度となっており、事業ポートフォリオの再構築・強化は順調に進捗していると考えています。加えて、既存事業の磨き込みも徹底的に行いROICの継続的な向上を通じて資本効率全体の改善を図り、現在約7%である非資源分野のROICを、2030年度までに10%以上へ引き上げることを目指します。
もう一つの柱が「資本の最適化」です。これまでの継続的な利益水準の向上と財務体質の改善により、当社は2025年11月にS&PによるA-格への格上げに至りました。この格上げは負債コスト削減によるWACCの引き下げや、フロービジネスにおける見えない信用コストの低下など、日々の事業活動に直接的な恩恵をもたらしていますが、一方で当社のネットDEレシオは2025年度末に0.43倍まで低下しており、十分なレバレッジ余力が生まれています。今後、格付けを意識しながらも、健全な範囲内でレバレッジを積極的・機動的に活用することで、「資本の最適化」を進めてまいります。
あわせて今回の見直しでは、GC2027で想定するフリーキャッシュ2,000億円の創出確度が高まったことを踏まえ、当該2,000億円を株主還元に充当し、株主還元総額を9,000億円へ拡大することとしました。そのうちの1,000億円については2026年度において追加の自己株式取得を実施します。
また資本効率を重視した経営の徹底のため、2026年度より役員報酬の評価KPIとして、各営業部門の戦略推進を担う営業部門長についてはROICを、全社の経営判断を担う執行役についてはROEをそれぞれ導入しました。高いROEを維持できる利益成長と経営力こそが当社の魅力の一つであると認識しており、GC2027の残りの期間、全力で実現に向けて取り組んでまいります。