
企画展
企画展
初期写真資料でひも解く 着こなしの変遷―幕末・明治の女性の和装
会期:令和7年12月2日(火)~令和8年1月24日(土)
休館日:日曜・祝日、年末年始(12月26日~1月4日)
関連イベント:
2026年1月17日(土)14:00~15:30
講演会「きもの上手 着こなしを楽しむ」
講師:原由美子
1970年『アンアン』創刊に参加し、以降スタイリストの草分けとして活躍。
『原由美子のきもの上手』など和装の楽しみ方を伝える著書も執筆。
左:薄紅綸子地几帳冠檜扇模様振袖 江戸時代19世紀 丸紅株式会社蔵 右:《(着物の女性)》(部分)c.1883~1912 東京都写真美術館蔵
企画趣旨
和装の着こなしは、江戸時代に様式が確立し、明治時代に多様な展開を見せます。本展では、貴重な初期写真資料から、当時の着こなしの再現を試みるはじめての企画です。
幕末期(1853-1868)、開港によって欧米との交流が飛躍的に深まり、日本社会に西洋文化の波が一気に押し寄せました。洋装もそのひとつですが、女性の服飾文化に目を向けると、むしろ和装は華やかな時代を迎えます。現代の和装のイメージは、戦後、西洋へのカウンターカルチャーとして定型化されていったものであり、幕末・明治期の着こなしは、女性の新たな自己表現として、百花繚乱ともいえる姿を見せていたのです。
本展は、江戸時代後期から明治時代に至る和装の着こなしを、女性の服飾を例に、幕末に流入した写真や文献を参照しながら、当時の着物や帯・小物を用いて再現します。丸紅コレクションが有する豊富な着物と、丸紅が取り組む染織研究が可能にした「100年前の着こなし」を、ぜひご覧ください。
作品紹介
薄紅綸子地几帳冠檜扇模様振袖
江戸時代19世紀 155.0×60.5
展示期間:12/2~12/15、1/13~1/24
几帳は平安時代においては身分の高い家で部屋の仕切りや目隠しとして用いられ、江戸時代には冠や檜扇などとともに吉祥模様として大いに好まれた。江戸時代中期頃に刊行された小袖模様雛形本にも、几帳模様が掲載されており、当時から人気の図案だったことがわかる。本作には、腰の部分には帯を締めたであろう痕が残り、実際に着用していたことがわかる作品である。
藍鼠綸子地筏流風景模様小袖
江戸時代~明治時代 19世紀 157.6×62.0
展示期間:12/2~12/25
藍鼠地に山々と流水を白く染め抜く「白上げ」を巧みに用いて、地紋の雨龍とともに立体感が生まれ、華やかな空間の表現に成功している。江戸時代末から明治時代に流行した裾褄模様は水の流れとたなびく草木によって、筏の動きに躍動感を与えている。京友禅の名匠といわれた上野清江伝来の作品である。
薄紅繻子地花束卍繋模様打掛
江戸時代 19世紀 175.3×63.4
展示期間:1/5~1/24
江戸時代後期の公家方の小袖は、モチーフを切り取り写実的に大きく刺繍で表す意匠が好まれた。本作には、大振りな桜・富士・蘭を花束にしたような図案が大胆に配され、そのまわりに卍繋模様を装飾的に散らされている。また、風にたなびく花束の紐を繍技(刺繍)で表現し、さらに舶来の繻子地やプルシアンブルー(紺青)などの顔料を用いて、伝統的な模様をベースにしながら、斬新な華やかさを演出している。 その間には、卍繋模様を装飾的に散らされている。舶来の繻子地やプルシアンブルーなどの顔料を積極的に取り入れ、伝統的な模様に新しさを感じる。風に流れるような花束をまとめる紐の繍技がひかり華やかさを演出している。
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