企画展

企画展

日伊修好通商条約締結160周年&シモネッタ歿後550年記念特別展
イタリアと日本の文芸作品に描かれた美しきシモネッタ

会期:2026年8月6日(木)~2026年9月30日(水)
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
※9月2日、9月9日、9月16日の3日間は10:00~20:00(入館は19:30まで)
休館日:日曜・祝日

展覧会概要

11 世紀から 15 世紀のヨーロッパは国家も宗教も激しい分断化が続いた時代でした。
そのような時世に生まれたのが人間の自由と尊厳、調和を重んずる人文主義思想です。彼らはキリスト教も異教も神の前では同一であるとする「反対の一致」という思想を唱え、分断の時代を収束させようと試みました。当世でも大いに示唆に富む思想ではないかと思います。
また、美術史家で図像解釈学の権威エドガー・ウィント(Edgar Wind,1900-1971)は、偉大なる芸術作品においては時代の思想的深みが常に表面に表れているもので、神聖なる光は、それが詩的なヴェールに覆われてはじめて我々に届く、と断言しています。すなわちボッティチェリの時代の絵は、描かれたものが単に目に見える世界を捉えているだけではなく、目に見えない存在を垣間見るための道具立てとしても機能していました。美しきシモネッタはそうした目に見えない存在を世の人々に垣間見せる存在でした。
本年は日伊修好通商条約締結 160 年ならびにシモネッタ歿後 550 年に当ります。本展は、イタリアの詩人 ポリツィアーノによるシモネッタが登場する『騎馬槍試合のための詩』とボッティチェリの《プリマヴェーラ(春)》に「不変の桜草の姿」を見た日本の作家辻邦生による『春の戴冠』という二大文芸作品に焦点をあて、それらに描かれた目に見えない存在を探ろうとする展覧会です。

作品紹介

サンドロ・ボッティチェリ《美しきシモネッタ》

15世紀後半 丸紅株式会社蔵

《美しきシモネッタ》は、ルネサンスの巨匠サンドロ・ボッティチェリ(Sandro Botticelli,1444/45-1510)によって描かれました。
モデルとなったシモネッタ・ヴェスプッチ(Shimonetta Vespucci,1453-76)は、1475年のメディチ家主催「ジョストラ(騎馬槍試合)」で“美の女王”に選ばれたほどの絶世の美女でした。その“比類なき美”はボッティチェリをはじめ多くの画家や詩人たちの題材となり、後世まで伝えられています。
日本に存在するボッティチェリの作品は本作品のみです。本作品は、1969年に丸紅がイギリスで購入し、以来大切に保存・管理を行っています。

《シモネッタとジュリアーノの出逢いの場面》

個人蔵
Angelo Poliziano, Stanze cominciate per la giostra di Giuliano de’ Medici, Loescher-Chuabtere-Torino, no.1/99, 1954より

中世イタリアを代表する詩人 ポリツィアーノの文芸作品『騎馬槍試合のためのスタンツェ』(未完の詩)には、シモネッタとジュリアーノが出逢う場面が描かれた挿画が添えられています。この図では、「ジョストラ(騎馬槍試合)」で優勝したジュリアーノ・メディチ(Iuliano de’ Medici,1416-69)が銀の甲冑にヴェロッキオ工房のデザインによる兜と楯を身に着け、ボッティチェッリがデザインしたバナー(旗標)を持ってアリーナに進み、試合に臨んだとされる姿を連想させる勇ましい姿が描かれています。本書にはこの挿画の他にも《騎馬姿のジュリアーノ》や《ミネルヴァの祭壇の前で跪くジュリアーノ》などがあり、添えられる詩とともに中世イタリアに想いを馳せることができる一冊です。
美術史家ミレッラ・レヴィ・ダンコーナの所蔵であった鉛筆書きの署名も入った貴重な書籍です。

《プリマヴェーラ(春)》の解析:花々の意味

《プリマヴェーラ(春)》に描かれた識別可能な40種類の植物がルネサンス期にどのような意味を持っていたかを、美術史家で図像解析学者であるミレッラ・レヴィ・ダンコーナによる分析をもとに図解します。多くの花の一つ一つに象徴的意味を隠し、現実の感覚的世界(可視的世界)と知的・精神的・神的世界(不可視的世界)を垣間見せたのではないかと考えられます。詳細は、展示室内にてお楽しみください。

※サンドロ・ボッティチェリ《プリマヴェーラ(春)》(ウフィツィ美術館蔵)は原寸大の写真パネルでのみ展示されます。

過去の企画展