企画展

企画展

濱野年宏 伝統と現代のハーモニー
聖徳太子絵伝四季図大屏風(中宮寺蔵)と新作
会期:2023年9月12日(火)~10月14日(土)
※展覧会は終了しました

       

主催:丸紅ギャラリー、日本経済新聞社
協力:中宮寺門跡、公益財団法人メセナかがわ・濱野年宏芸術交流協会

企画趣旨

丸紅ギャラリーでは開館以来、丸紅所蔵作品を4回にわたり紹介してきました。5回目の本展では丸紅コレクションから離れ、香川出身の国際的に活躍している画家・濱野年宏の作品をご紹介します。
中宮寺所蔵の名作《聖徳太子絵伝四季図大屏風》と《如意輪観世音菩薩キリク御像》をはじめ、2020年から22年にかけて制作された茶室、桂離宮、中宮寺シリーズなどの新作を展覧します。
東洋と西洋、伝統と現代、具象と抽象、自己と他者といった二元論にとらわれることなく、聖徳太子流の「和」ハーモニーの精神でそれらを不二一元化する濱野芸術を心ゆくまで味わって頂きたいと思います。      

章解説

アプローチ 《聖徳太子絵伝四季図大屏風》の春と夏の部

構想から完成まで 15 年の歳月を要したこの大屏風には聖徳太子の生涯の事跡が時系列ではなく、季節別に描かれています。こうした季節による描写形式は鎌倉時代後期(1305年)に上野法橋こうずけのほっきょう但馬房たじまぼうという絵師によって描かれた聖徳太子絵伝(重要文化財・東京国立博物館法隆寺献納宝物)が最初と言われていますが、この形式を選んだ画家の季節への強い想いが感じられます。

《聖徳太子絵伝四季図大屏風「春の部」》2005年、中宮寺蔵
《聖徳太子絵伝四季図大屏風「夏の部」》2005年、中宮寺蔵

茶室シリーズ

露地や土間、躙口にじりぐち、床の間、茶室の窓、待庵など、さまざまな場所が、禅の心である余分なものをそぎ落としてできる究極の形と色によって描かれています。画家の解釈を通して単純化された形と色が「わび」「さび」といった茶道の本質を私たちに伝えています。

《遺芳庵変相図》2020年

桂離宮シリーズ

創建当時の姿を残す桂離宮を平面と線で描き、簡素に抽象化された建築美を表しています。古書院、中書院、新御殿、楽器の間、そして鳥観図ちょうかんずとさまざまな角度から描いています。
2021年から22年にかけては新シリーズとして桂離宮の夜景を描いています。

《桂離宮》2020年

慈しみの美

《如意輪観世音菩薩キリク御像》

中宮寺ご本尊のお顔は写実的に描き、一方のご身体は梵字キリクによって抽象的に再構成し、画家が目指している「慈しみの美」をあますことなく表現しています。

《如意輪観世音菩薩キリク御像》2010年

抽象的と心象的

茶室の一部分をフィーチャーした抽象作品シリーズと天照大御神を祝度から誘い出した長鳴鶏を心象的に描いた最新作を展示しています。

《桂離宮―新御殿一の間桂棚》2022年

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