展覧会

企画展

丸紅ギャラリー開館記念展Ⅰ

「日仏近代絵画の響き合い」会期:2021年11月1日(月)~2022年1月31日(月)
※休館日:日曜日・祝日、11月20日(土)、年末年始(2021年12月29日~2022年1月3日)

企画趣旨

「日仏近代絵画の響き合い」と題する本展は丸紅ギャラリーのオープニングを飾る展覧会です。19世紀写実派のコローやクールベによる風景画から始まり、ルノワール、ルドン、デュフィ、ヴラマンク等に連なるフランス近代絵画の巨匠作品、彼らから多大の影響を受けた藤島武二、岡田三郎助、和田英作、川島理一郎、梅原龍三郎、安井曾太郎、小磯良平、荻須高徳ら19世紀末から20世紀にかけて活躍した日本の洋画家の作品を、従来の美術史の既成概念にとらわれず、丸紅コレクションにある彼らの作品の筆づかいや色づかいなどの作風をベースにした分類に基づいて展示することにより、近現代絵画における日仏の芸術交流や響き合いをレビューします。

主な作品

浜辺

藤島武二(1867年~1943年)

1898年頃 油彩 板 24×33cm

藤島武二は鹿児島県出身。1884年に上京し川端玉章の下で日本画を学んだが、後に洋画に転向し、曽山幸彦、山本芳翠に師事した。1896年黒田清輝の推薦で東京美術学校助教授に就任するとともに、黒田らが創立した白馬会に参画する。1905年渡欧し、フランスで歴史画を得意とするフェルナン・コルモンに、イタリアで肖像画を得意とするカロリュス・デュランに師事した。1910年に帰国後、東京美術学校教授に就任、1912年には岡田三郎助とともに本郷絵画研究所を創立し、多くの後進を育てた。1937年に第1回文化勲章を受賞。

本作は希少な初期白馬会時代の作品で、近景に雑草の生えた砂浜を、中景に穏やかな海を、そして遠景に江の島を描き、色づかいも外光派の手法を顕著に示している。

沼のほとり

岡田三郎助(1869年~1939年)

1919年 油絵 キャンバス 34×46cm

岡田三郎助は佐賀県出身。1887年曽山幸彦に弟子入りして画家を志し、1891年明治美術会会員となる。その後久米桂一郎を通じて黒田清輝を知り天真道場に入門した。1896年東京美術学校助教授に就任するとともに、黒田清輝が主宰する白馬会の創立会員となる。翌年フランスに留学し、黒田清輝の師ラファエル・コランの下で学んだ。1902年に帰国後、東京美術学校教授に就任、1912年には藤島武二とともに本郷絵画研究所を創立して、多くの後進を育てた。1937年に第1回文化勲章を受賞。

沼のあるこの風景画は、朝の清涼な光を受けた色調と、木の幹や遠景に使われている紫の高雅な情緒性に、外光派の師ラファエル・コランの影響がみられる。

ヴィル・ダヴレーのあずまや

ジャン=バティスト=カミーユ・コロー(1796年~1875年)

コローは1822年からアシル=エトナ・ミシャロンに師事し、古典的・歴史的風景画の基礎を学ぶ一方、師の教えに従い、フォンテヌブローの森へ足しげく写生に出かけ、自然に即した風景画を描いた。また、イタリアにも何度も旅行し、ローマやその周辺の古典的で知的な雰囲気に感銘した作品を多く描いた。こうした背景からコローは写実的だけでなく、古典的あるいは抒情的な風景画など、バラエティに富む画風を示した。

1847年の夏、体調のすぐれない父親に付き添うため、コローはヴィル・ダヴレーの実家に長く滞在した。この絵は同地で制作した代表的作品で、母親の誕生日祝いに描かれた。絵には彼自身を含めコローの家族が描かれている。

エスタックのオリーブ畑

ピエール=オーギュスト・ルノワール(1841年~1919年)

1882年 油彩 キャンバス 94×36cm

ルノワールは13歳からリモージュの製陶工場の絵付師として働いた。1863年、20歳を過ぎてパリ国立美術学校のグレールのアトリエに入り、初めドラクロワやクールベの影響を受けたが、後に印象派の仲間に加わり多くの傑作を描いた。晩年、リウマチを患い、療養を兼ねて南仏に移住するが、同地の気候は彼の作品に一層豊かな色彩をもたらした。

1882年1月末、ルノワールはイタリア旅行からの帰路、マルセイユ近郊のエスタックに立ち寄り海に面したホテルに逗留し、そこで尊敬する画家セザンヌに出会った。海原や草むらに見られる平行な斜めの筆づかいはセザンヌの描法を反映したものと思われる。陽光がオリーブ畑の木の葉や草むらに心地よく降り注ぎ、季節は冬であるが、春のような空気を感じさせる。