展覧会
企画展
丸紅ギャラリー開館記念展Ⅳ
染織図案とあかね會
―その思いを今につむぐ―会期:2023年5月16日(火)~7月31日(月)
前期:5月16日(火)~6月17日(土)
後期:7月3日(月)~7月31日(月)
※展覧会は終了しました
協力:京都丸紅株式会社
企画趣旨
丸紅ギャラリー開館記念展IVは丸紅コレクションの3本柱の一つである染織図案をご紹介する展覧会です。
染織図案コレクションは現在京都丸紅株式会社の所蔵となっていますが、その発祥は1921年に設立された丸紅株式会社の前身である株式会社丸紅商店(以下丸紅商店)の時代に遡ります。その頃大阪に本拠を構えていた丸紅商店は東京圏に進出を計画し、副社長の伊藤忠三自ら東京に呉服商品のサンプル約1000枚を持ち込み、市場調査を行います。その結果、東京で商いをするには新しいデザイン開発が重要不可欠なことを痛感し、京都支店を中心に染織図案研究会「あかね會」を発足させました。同研究会では竹内栖鳳、藤島武二、朝倉文夫ら多分野にわたる芸術家たち約70名に創作図案を毎年発表してもらい、それを新作の着物や帯等の染織品模様に活かしました。
本展ではそれらの中から図案家、日本画家、洋画家、彫刻家、漆芸家など独創的で個性的な作品を選別し、前期と後期に分けて展示しています。染織品をつくるための意匠であり、通常人の目に触れることのない図案ですが、この機会に多くの皆さまにご鑑賞頂ければ幸いに存じます。
主な作品
あかね會の図案は、寸法や素材が定型化されていないことが特徴といえる。
参加作家は、主に竹内栖鳳、西村五雲、土田麦僊、藤島武二、石井柏亭、向井寛三郎、杉浦非水等、日本画家、洋画家、図案家等の分野を超えた名だたる作家によって構成されている。また、東京もしくは京都で活動した作家たちが大半を占め、師弟関係や同じ美術学校出身という共通点がある。
磯つづれ 三(三枚ノ内)
竹内栖鳳
1928年、紙本着色、51.2×30.0cm、京都丸紅
後期展示
京都府生まれ。日本画家。幸野楳嶺に師事し、四条派を学び「棲鳳」の号を受けた。1900年パリ万博後渡欧し、ターナーやコローの影響を受けた。帰国し「栖鳳」に改名。日本写生に西洋画の表現を巧みに取り込み、京都画壇に大きな足跡を遺した。
磯つづれと題する図案は計8枚制作され、深い紺地に抽象的な模様が異なるパターンで表現されている。
白百合
石井柏亭
1929年、紙本着色、99.8×56.3cm、京都丸紅
後期展示
東京都生まれ。初め日本画を学ぶが、大蔵省印刷局にて銅版や水彩を学び、浅井忠の師事の下洋画に転向した。1914年山下新太郎、有島生馬らと二科会を創立。その後二科会と決別し、同志と一水会を結成。
石井らしいのびやかな線描に白百合の生命感が感じられる。
向日葵
朝倉文夫
1928年、紙本着色、46.1×33.5cm、京都丸紅
前期展示
大分県生まれ。彫刻家。実兄の彫刻家渡辺長男をたよって1902年に上京、翌年東京美術学校彫刻選科に入学した。一貫して自然主義的な写実を貫き彫刻界のみならず美術界で大きな影響力を持った。
京都丸紅が所蔵する朝倉の図案は、いずれも同系色が使用され、「文夫」の朱文円印が確認できる。
モダン調
斎藤佳三
1929年、紙本着色、左37.8×28.6cm、右37.9×28.6cm、京都丸紅
前期展示
秋田県生まれ。図案家。東京音楽学校師範科に入学後、東京美術学校図案科へ再入学。1913年にドイツへ渡り、帰国後は斎藤装飾美術研究所を創立。主に工芸、服飾の分野で、先進的な活動を行った。
有機的な模様が大胆に配置されており、斎藤の独自性がうかがえる。