企画展

企画展

マックス・トゥーレ:知られざるポスト印象派の画家

会期:2026年3月17日(火)~2026年5月23日(土)
休館日:日曜・祝日

企画趣旨

本展は日本で初めてのマックス・トゥーレ(Max Touret, 1872-1963)の個展です。エンジニアとしてのキャリアも輝かしいものがありますが、画家としても才能を発揮した人でした。
彼の作品は第二次世界大戦中のドイツ軍によるオンフルール港占領中に数点は消失したものの、それ以外の約350点は今日まで拡散することなく娘や孫たちによって保存されてきました。画家マックスは生存中に1点も売ることはなく、もっぱら楽しみのために絵を描くことに専念する人生を送りました。
マックス・トゥーレは新たな絵画の潮流を築いたわけではありませんが、1920年代に影響を受けた分割主義あるいは点描主義などの理論を厳格に学び、応用した画家の一人でした。
2019年にノルマンディーのオンフルールにあるウジェーヌ・ブーダン美術館が彼の作品5点を収蔵し、続いてドーヴィルのフランシスケーヌ美術館が入手するまで、彼の作品は今まで長い間公開されたことはありませんでした。出身地のフランスでも個展が開かれたのは、それから4年後の2023年、ウジェーヌ・ブーダン美術館においてでした。
本展は彼の作品の数々を一堂に観覧いただける貴重な展覧会です。

作品紹介

《オンフルール、ビュタンの浜辺》

制作年不詳、個人蔵

マックス・トゥーレが「ラ・マルトゥルネ」と名付けた彼のヴィラから海岸に向かって下っていくと、クロード・モネ(Claude Monet, 1840-1926)やジョルジュ・スーラ(Georges Seurat, 1859-91)らが描いたオンフルールで最も有名な場所の一つ、ビュタンの浜辺に立つ《オンフルール、ビュタンの浜辺》と題するマックスの絵は、西側から灯台を眺望したもので、海岸線が大きな斜めの軸となる特徴的な構図となっている。

《小舟で遊ぶ子供》

制作年不詳、個人蔵

農家の庭に流れる水辺で遊ぶ子供の姿を印象派風のタッチで描いている。小品ながら非常に情感あふれる作品で、まるで可愛い孫が小川に手づくりの小舟を浮かべて一心に遊んでいる姿を思い浮かべながら、画家が愛情を込めて描いているようだ。マックス・トゥーレの風景画には本作のように日常的な生活の場面が、描かれている人々への優しいまなざしを通して描写されているものが多い。

《コードベック・アン・コーのアンリⅣ世ホテル》

1909年、個人蔵

1909年制作の本作は第一次世界大戦以前に描かれた。この時期は対象物を明瞭な輪郭を刻み込むような描き方をしており、1920年代の作品に見られる筆のタッチの断片化による分割描法や、点描画法を試みた時期と様式上の差異が識別される。

《ムーア様式の宮殿で日本使節団を迎えるカルルV世》

制作年不詳、個人蔵

マックス・トゥーレは新奇なテーマで歴史的シーンを描いている。たとえば、最晩年に描いたこの《ムーア様式の宮殿で日本使節団を迎えるカルルV世》や彼自身がアメリカとの長いかかわりをもったことを想起させるような作品「インディアンの使節団」シリーズなどがある。ちなみに日本の仙台藩主伊達政宗がスペイン国王とローマ教皇・パウロV世のもとに派遣した慶長遣欧使節がスペイン国王に謁見したのは1615年で、カルルV世(1500-1558)でなくフェリペIII世の時代。本作の主題は画家の想像によるものかもしれない。

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