「丸紅コレクション」は絵画と衣装、および京都丸紅が管理する染織図案から構成されています。絵画コレクションは日本と西欧の絵画から成り立っており、概ね1979年までに形成されました。丸紅アート・着物コレクション

「丸紅コレクション」は絵画と衣装、および京都丸紅が管理する染織図案から構成されています。
絵画コレクションは日本と西欧の絵画から成り立っており、概ね1979年までに形成されました。

丸紅コレクションについて

日本の絵画は、取得の経緯はさまざまですが、長い年月をかけて少しずつ蒐集されたものです。丸紅の前身である丸紅商店の時代に染織図案の研究のために主宰した「草の葉会」や「あかね会」、そしてそれらが発展し、今に続いている京都丸紅株式会社主催の「美展」等を通じて、和田英作、石井柏亭、川島理一郎など、画家との接点が増えたことで自然に蒐集されてきました。なかでも小磯良平は、1955年から1961年まで、丸紅社内報の表紙用のデザイン、本文用のカットを担当するなどの縁がありました。

西欧の絵画については、1969年に「丸紅アート・ギャラリー」を開設し、総合商社として初めて本格的に美術品の輸入販売ビジネスを開始したのが始まりです。同年に東京で行われた「英国フェア」の一環として「ヨ-ロッパ巨匠名画展」を開催するため、英国からボッティチェリや、ゲインズバラ、コローなど泰西名画を中心とする美術品を大量に輸入しました。その後1974年にはパレス・アート株式会社という美術品を専門に扱う子会社を設立し、取扱い対象を印象派やエコ-ル・ド・パリの作家に絞ることにして作品を買い付けしました。しかし、第二次石油危機の余波を受けて1979年に絵画ビジネスを中止することになり、その時点で営業用資産として残っていた絵画は全て本社のコレクションに移管することになり、絵画コレクションの全体像がほぼ出来上がったものです。

染織品のコレクションは、丸紅商店時代の1929年に能装束を購入したことに始まり、江戸時代の小袖や近代の名匠たちによる着物などを機会のあるごとに蒐集したものです。研究・創作を目的としただけではなく、戦前・戦中の混迷期において染織の価値が次第に損なわれていくことに憂いを感じた丸紅商店関係者が、それらを後世に残す為に蒐集を行った結果、約400点のコレクションが形成されました。また、染織図案については、前述した「草の葉会」や「あかね会」という研究会を通じて、各界の巨匠に約10年間にわたり染織図案を制作してもらい、そのうち約600点が所蔵されています。

※掲載しているのは所蔵コレクションの一部です。