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丸紅のサプライチェーンをご紹介します。

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社会サプライチェーン

方針

サプライチェーンに関する基本的な考え方

丸紅グループは、数多くの取引先とともに、グローバルに多種多様なビジネスを展開しています。昨今、持続可能なサプライチェーン構築に向けた取り組みの重要性が高まっており、丸紅グループ内における取り組みのみならず、サプライチェーン全体で地球環境の保全、社会の持続的発展に取り組むことが、丸紅グループの競争力強化、差別化に直結すると考えています。
また、人権の尊重も持続可能なサプライチェーンに欠かすことのできない重要な要素です。丸紅グループは、持続可能で強靭なサプライチェーン構築に取り組むことにより、「丸紅なら安心」というステークホルダーからの信頼を醸成し、ビジネス機会の拡大を目指していきます。

サプライチェーンにおけるサステナビリティ基本方針

サプライチェーンにおけるサステナビリティ基本方針(2019年1月改訂)

  1. 丸紅グループは、自らがサステナビリティへの取り組みを強化するにとどまらず、そのサプライチェーンにおけるサステナビリティへの取り組み強化をサポートし、地球環境に配慮した健全で持続可能な社会の構築を目指してまいります。
  2. 丸紅グループは、次項の『サプライチェーンにおけるサステナビリティ・ガイドライン』を定め、取引先に対して、その順守に対する理解と協力を求め、取引先と共により実効性の高いサステナビリティへの取り組みを推進してまいります。また、同ガイドラインの浸透を図るためにコミュニケーションのみならず、取引先訪問の際に、必要に応じて助言、要請、指導や優良事例の共有を行うなど、取引先のキャパシティ・ビルディングに取り組みます。
  3. サプライチェーンにおけるサステナビリティ・ガイドライン
    1. 1)法令順守
      • 当該国および取引に関わる諸国の関連法令を順守する。
    2. 2)人権尊重
      • 人権を尊重し、差別・各種ハラスメント・虐待などの非人道的な扱いをしない。
      • 児童労働、強制労働を行わない。
      • 従業員の労働時間と休日・休暇を適切に管理し、過度な時間外労働を禁止する。
      • 法定最低賃金を遵守するとともに、生活賃金以上の支払いに配慮する。不当な賃金の減額を行わない。
      • 労使間協議の実現手段としての従業員の団結権および団体交渉権を尊重する。
    3. 3)環境保全
      • 気候変動問題の重要性を認識し、適切に対応する。
      • 自然環境を保護する。
      • 環境への負荷を低減し、汚染を防止する。
    4. 4)公正取引
      • 公正な取引を行い、自由な競争を阻害しない。
      • 贈賄や違法な献金を行わず、腐敗を防止する。
    5. 5)安全衛生
      • 職場の安全・衛生を確保し、労働環境を保全する。
    6. 6)品質管理
      • 商品やサービスの品質・安全性を確保する。
    7. 7)情報開示
      • 上記を含め、会社情報を適宜適切に開示する。
  4. 丸紅グループは、本方針のうち、労働基準を満たさない仕入先への対応手順を以下のとおり制定しています。
    1. (1)本方針のうち、労働基準に関する1)法令順守、2)人権尊重、5)安全衛生を満たさないことが明らかになった仕入先に対して、必要に応じ、
      • 事実確認、
      • 事実である場合、その背景および改善策の報告、
      を要請する。また、状況に応じて仕入先を訪問する。
    2. (2)改善策が不十分と判断される場合には、更なる施策実施を要請する。
    3. (3)上記(1)~(2)を実施してもなお、改善策が進捗しない状況が続く場合は、取引の継続可否を検討する。

『サプライチェーンにおけるサステナビリティ基本方針』で定めている人権とは、憲法、労働基準法、世界人権宣言、ビジネスと人権に関する指導原則(国連)などで定める全ての基本的人権を含みます。また、ILO(国際労働機関)の国際労働基準に定められた均等雇用、強制労働や児童労働の禁止、結社の自由、団体労働交渉権の保障などにかかわる人権も含まれます。

『サプライチェーンにおけるサステナビリティ基本方針』で定めている環境保全には、エネルギー使用、気候変動、水使用、生物多様性への影響、環境問題、汚染、廃棄物、資源利用への対応を含みます。

丸紅は継続的取引のある取引先※1に、『サプライチェーンにおけるサステナビリティ基本方針』を伝達することで、同方針に対する理解と協力を頂くことを目指しています。
具体的には、同方針の改訂毎に、継続的取引のある全仕入先、及び新たに継続的取引を開始する仕入先に、手交、口頭説明、或いは送付等の方法で同方針への理解と協力を求める体制を構築しています。

1 継続的取引のある取引先には、グループ会社、仕入先、サービス提供会社、契約業者、製造委託先、JVパートナー、業務委託先を含みます。

商品別調達方針

丸紅は「サプライチェーンにおけるサステナビリティ基本方針」に基づき、一部の商品に関してはより商品に寄りそった調達方針を策定しています。

森林由来製品
パーム油
牛肉
水産物
コーヒー豆

地域社会への貢献に関する方針

丸紅グループは、事業の実施・拡大には「地域社会への貢献」が必要不可欠であると認識しており、各国地域の経済社会基盤の整備・拡充に貢献する営業活動を行い、多彩な地域貢献活動や、事業活動を通じたコミュニティ投資を行う事で、地域社会の発展に貢献します。
具体的には、事業実施地域での雇用創出により富の不平等や現地での失業を改善し、物品やサービスの調達については可能な限り域内で行うことで、地域経済の活性化に貢献します。また、地域開発に向けてコミュニティと積極的に関わっていく事で、当社グループと地域が共に成長できる事業活動を展開していきます。

丸紅グループの取り組み

『サプライチェーン労働基準』を満たさない仕入先への対応

丸紅は、『サプライチェーンにおけるサステナビリティ基本方針』のうち、サプライチェーン労働基準を満たさない仕入先に対して、以下の通り対応手順を定め、改善していただくように要請しています。2023年3月期には、本対応対象の取引先はありませんでした。

『サプライチェーンにおけるサステナビリティ基本方針』の労働基準を満たさない仕入先への対応手順[97KB]

サプライチェーン・マネジメント 教育・研修

サプライチェーン・マネジメントを実践するために、丸紅は、役員・社員向けにサプライチェーン上の人権リスクなど、必要な知識を含むウェビナー研修を実施しています。今後も毎年、内容を更新して、教育・研修を継続していきます。

サプライヤーのキャパシティ・ビルディング

当社は、サプライヤーに「サプライチェーンにおけるサステナビリティ基本方針」を周知し、環境・社会問題への理解を深めてもらうために、営業担当者がサプライヤーを訪問する際に、必要に応じて助言、要請、指導や優良事例の共有を行うなど、サプライヤーのキャパシティ・ビルディングに取り組んでいます。

サプライチェーンにおけるサステナビリティ評価手法の構築

持続可能で強靭なサプライチェーン構築のためのリスク管理の一環として、丸紅グループは、ビジネスのサステナビリティ面における潜在的リスク評価手法を構築しています。手法の構築にあたっては、専門的な知見を有する社外のコンサルタントを起用し、関連法令、国際基準、類似ビジネスにおける過去の事故事例なども参照し、リスク評価の基準を定めています。

具体的には、①各ビジネスの業種・業態、②各ビジネスが事業活動を行っている国・地域に応じて、「環境」「労働安全衛生」「社会」の3カテゴリーによる各評価項目の潜在リスクの重要度評価を行います。重要度評価に際しては、各リスクの「規模」「範囲」「是正困難度」などにより、その影響度を判断します。このサステナビリティ評価手法は、連結子会社やサプライヤーに対するサステナビリティ調査、新規投資におけるリスク分析に導入しています。

各カテゴリーのリスク評価項目
環境 気候変動/環境汚染/生物多様性/資源管理/対策・管理手順(環境)
労働安全衛生 機械安全/火災・爆発/有害物質との接触/感染/危険性のある作業/対策・管理手順(安全衛生)
社会 強制労働・人身取引/児童労働/労働時間/賃金・雇用契約/差別/ハラスメント・懲罰/多様性の尊重/結社の自由および団体交渉権/土地の問題/地域コミュニティへの負の社会的影響/先住民・文化遺産/紛争鉱物/プライバシー/アニマルウェルフェア(動物福祉)/責任あるマーケティング/対策・管理手順(社会)

連結子会社へのサステナビリティ調査

丸紅グループの世界各地の連結子会社は、その商品・サービスの提供先にとってのサプライチェーンの起点です。これらのビジネスの現場においてサステナブルな事業運営を担保することこそが、持続可能で強靭なサプライチェーン構築のためのファーストステップかつ非常に重要な要素であると位置づけ、2020年3月期から2021年3月期にかけて、連結子会社へのサステナビリティ調査を実施しました。丸紅グループの全連結子会社約400社を対象スコープとし、中でも潜在的リスクの詳細確認が必要と判断された約200社について調査を実施しています。これら200社に対しては、まず、サステナビリティ評価手法を用いて、各社の潜在リスクレベルの評価を行ったうえで、その業種特性等に即した潜在リスクレベルが一定以上の連結子会社に関しては現地訪問調査の候補とし、それ以外の連結子会社に関しては書面調査を実施しました。同調査においては、国内の連結子会社5社に対し、専門的な知見を有する社外のコンサルタントとともに訪問調査を行い、環境面、労働安全衛生面、社会面において事業が適切に運営されているか確認を行いました。今回の書面調査及び訪問調査の結果、直ちに対応を要する問題事項は発見されませんでした。
その後も、上述の連結子会社に対するサステナビリティ調査のフォローアップとして、各社の事業態様の変化の有無など、リスク要因を継続的にモニタリングしています(連結子会社におけるサステナビリティ上の変化点管理調査)。本調査は、連結子会社が実施している事業・サービスにおいて、直近一年で一定の変化点が確認された場合に、これに応じた環境面、労働基準を含む労働安全衛生面、社会面の管理状況の拡充が十分になされているかを確認するものです。本調査を通じ、何らかの問題が発見された場合には、必要な改善措置について助言・勧告等を行い、管理改善を図っています。2023年3月期の本調査で変化点が認められた連結子会社15社については、それぞれ変化に応じた管理強化が行われており、直ちに追加的な措置を要する問題事項は発見されませんでした。

連結子会社へのサステナビリティ調査

【2020年11月 シンコーケミカル・ターミナル株式会社(本社・神戸事業所)訪問調査】

神戸・名古屋・博多にそれぞれ拠点を有し、液体化学品タンク基地の運営および管理を実施するシンコーケミカル・ターミナル株式会社の本社・神戸事業所へ訪問調査を行い、社外のコンサルタントとともに、マネジメントや現場担当者へのインタビュー、サイトでの操業状況の視察を通じ、環境面・労働安全衛生面・社会面における事業の運営状況を確認しました。3日間の調査を経て、シンコーケミカル・ターミナル株式会社の環境管理面や安全衛生管理・防災体制等に関し、継続すべき良い取り組みを確認するとともに、改善の機会を検討しフォローアップを完了しました。

  • サイト視察の様子
    サイト視察の様子
  • 神戸事業所
    神戸事業所

サプライヤー調査

「サプライチェーンにおけるサステナビリティ基本方針」(以下、基本方針)のサステナビリティ・ガイドラインに従い、仕入先に対して丸紅関係者が直接、製造もしくは生産現場を訪問し、当社の基本方針に関する取り組み状況を調査しています。

現地訪問調査では、人権(児童労働、強制労働の防止等を含む)、法令遵守、公正取引、安全衛生、品質管理、環境、情報開示等の課題に対する当社基本方針を改めて説明、今後の協力への働きかけを行うと同時に、訪問先の地域特性やビジネスの実態にあわせて多面的な調査を行っています。調査の対象となる課題や調査方法については、第三者の意見も交えて見直しを行い、常に最新の動向を反映するように努めています。また、調査結果は訪問先にも報告し、今後の改善に役立てられるように情報を共有しています。環境・社会面を含めたサステナビリティに関連する訪問先の取り組みに関し、当社の規定に満たない事例、違反する事例、また負のインパクトが見込まれる事案が確認された場合には、課題をサプライヤーに共有したうえで改善に向けた働きかけを行うとともに、サプライヤー自身による積極的な報告と、影響削減に向けた取り組みを奨励し、サプライチェーン全体で環境・社会への影響低減に向けて取り組んでいます。

違反事項については、サプライヤーに対する改善活動を実施しています。サプライヤーへのトレーニングや啓発活動、支援、是正勧告などを行い、環境・社会面での対応を促します。これら活動を通しても改善が見られない場合には、サプライヤーに取引見直しの通告を行います。

2012年3月期から2019年3月期までに、累計で18社を訪問し、改善活動を実施しました。
2020年3月期から2022年3月期にかけては、新型コロナウイルスの影響により、現地訪問調査を行いませんでしたが、2022年11月に再開、2023年3月期にはサプライチェーン上でのサステナビリティ関連リスクが比較的高いと言われている商材を取り扱う生産現場3社を訪問し、調査、改善活動を実施しました。(2012年3月期から2023年3月期までの累計:21社)
当社は今後も環境・社会等サステナビリティの課題に対するサプライヤー研修の開催等を通じてサステナビリティ推進への理解の浸透に努め、サプライチェーン全体で環境、社会への負荷低減に向けた取り組みを推進し、持続可能で強靭なサプライチェーンの構築を目指してまいります。

2023年2月訪問 ベトナム縫製工場

2023年2月、当社仕入先であるベトナムの縫製工場2社(BAC GIANG LGG GARMENT CORPORATION、Haivina Kim Lien Factory)を訪問し、サステナビリティの対応状況について調査を行いました。
当社基本方針に則り、以下の項目に関して確認した結果、法令遵守、人権尊重、労働安全衛生、環境保全について、両工場共に重大な違反事項はありませんでした。

BAC GIANG LGG GARMENT CORPORATION

法令遵守全般

  • 工場操業における適用法令の特定・把握・遵守にあたり、専門組織を設置しています。また、適用法令については、工場内での掲示を通じ、従業員に周知しています。
人権尊重、労働条件、賃金等
  • 全従業員と、労働時間・賃金・残業代・休暇等の雇用条件を記載した雇用契約書を締結しています。
  • 最低賃金に関する法令水準を満たし、残業代を適切に支払っています。
  • 労働組合が組織され、全従業員が加入しています。
  • 従業員向け苦情処理メカニズムを開発・運用しており、従業員は、意見箱、チャットアプリ、HPを通じて会社に申し立てが出来ます。
労働安全衛生
  • 労働安全衛生に関する方針を策定し、従業員に周知しています。
  • 工場操業において、潜在的なリスクを特定し、モニタリング制度を導入しています。
  • 全従業員対象の健康診断に加え、職業病や作業疾患にさらされる懸念のある従業員を対象にしたサーベイランスを実施しています。
  • 工場内の区画毎に応急処置キットを設置し、応急処置チームを全てのシフトに配置しています。
  • 医師・看護師が常駐する診療室を設置しています。緊急時には救急搬送できる環境を整備しています。
  • 現地法令に則った化学物質管理を行っています。
  • 工場内には消火器、消火栓等の消防・防災システムを設置しており、定期点検も行っています。
  • 避難マップを所定の場所に設置するとともに、消防署の協力のもと避難訓練を定期的に行っています。
  • 従業員用の飲料水サーバーを、工場内各所に設置しています。
環境影響
  • 環境方針を策定し、従業員に周知しています。
  • 排水・排気に関するモニタリングを定期的に実施し、現地法定基準値内で操業しています。
  • 有資格の廃棄物処理委託業者を起用し、適切に廃棄物処理を行っています。
  • 応急処置キット
    応急処置キット
  • 定期点検済みの消火器
    定期点検済みの消火器
  • 苦情処理ボックス
    苦情処理ボックス

Haivina Kim Lien Factory

法令遵守全般

  • 工場操業における適用法令の特定・把握・遵守にあたり、専門組織を設置しています。また、その法令内容は、工場内での掲示を通じ、従業員に周知しています。
人権尊重、労働条件、賃金等
  • 児童労働防止のため、採用時にIDカード等身分証明書による年齢確認を実施しています。
  • 全従業員と、労働時間・賃金・残業代・休暇等の雇用条件を記載した雇用契約書を締結しています。
  • 残業時間を含め、従業員の労働時間を法令に則り適切に管理しています。
  • 採用、昇進、報酬において、人種、性別、宗教等によって、特定のグループに対する不当な扱い、身体的虐待、屈辱的な懲罰が行われることを労働規則で禁止しています。
  • 従業員向け苦情処理メカニズムを開発・運用しています。従業員は、意見箱、会社提供のホットライン等を利用して申し立てることが出来ます。
  • 最低賃金に関する法令水準を満たし、残業代も適切に支払っています。
  • 従業員に対する有給休暇を保障し、利用を奨励しています。
  • 労働組合が組織されており、団体交渉権が認められています。
労働安全衛生
  • 労働安全衛生に関する方針を策定し、工場内での掲示により、従業員に周知しています。
  • 定期的に環境・健康・安全リスクアセスメントを実施しています。直近の結果では、特段の問題は指摘されませんでした。
  • 全従業員を対象とした健康診断に加え、職業病や作業疾患にさらされる懸念のある従業員を対象にしたサーベイランスを実施しています。
  • 現地法令に則った化学物質管理を行っています。
  • 安全を確保するための保護具規則を制定し、定期的に従業員に対して保護具を支給しています。
  • 工場内には消火器、消火栓等の消防・防災システムを設置しており、定期点検も実施しています。
  • 避難マップを所定の場所に設置するとともに、消防署の協力のもと避難訓練を定期的に行っています。
  • 医師・看護師が常駐する診療室を設置し、救急搬送できる環境を整備しています。
  • 従業員用の飲料水サーバーを、工場内各所に設置しています。
  • 工場内の区画毎に応急処置キットを設置し、応急処置チームを全てのシフトに配置しています。
環境影響
  • 環境方針を従業員に周知するとともに、同社サイト上でも公開しています。
  • 工場内の排水処理システムや廃棄物処理は専門チームが担当しており、有資格の専門業者を起用しています。
  • 排水に関するモニタリングを定期的に実施し、現地法定基準値内で操業しています。
  • 定期的に第三者機関の監査を受けていますが、特段の問題は指摘されていません。
  • 作業場に掲示されている応急処置方法掲示板
    作業場に掲示されている応急処置方法掲示板
  • 給水所
    給水所
  • 勤怠管理のためのタイムカードシステム
    勤怠管理のためのタイムカードシステム

2022年11月訪問 コートジボワール天然ゴム加工工場の詳細はこちら

サプライチェーンに向けた働きかけ

2022年3月期以降は、当社と直接お取引のあるサプライヤー(以下、Tier 1サプライヤー)に対する働きかけを行っています。具体的には、サステナビリティ面での潜在リスクが高い商材を中心に、サステナビリティ調査の対象を順次サプライチェーンへと拡大していく方針です。
2021年3月期から2023年3月期にかけて、当社グループのTier 1サプライヤー約23,000社に向けて当社グループの考え方と方針を書面で改めて伝達し、ご理解とご協力をお願いしました。2023年3月期は、サステナビリティ面でのリスクが高い商材として特定した商材を中心に、Tier 1サプライヤーを対象にした調査・モニタリングに協力を依頼していきます。調査を通じて発見された事項については、サプライヤーの方々との協働により、管理体制の改善・向上を図ることを目指します。

商品別の取り組み

食肉(牛)における丸紅グループの取り組み

丸紅グループでは、世界各国で増加する高品質な牛肉のニーズに応えるべく、食の安全性確保を重要視した牛肉の調達を行っています。

輸入牛肉については北米・豪州・南米など世界の牛肉産地から、品質、生産工程および衛生管理のみならず、生体牛の出荷農場までトレースが可能な牛肉の取り扱いを前提として、供給業者を選定しています。

グループの牛肉関連事業としては、豪州で肥育事業を行うRangers Valley Cattle Station Pty, Ltd. (以下、Rangers Valley)および、米国で牛肉の処理加工事業を行うCreekstone Farms Premium Beef LLC (以下、Creekstone)の二大拠点体制で、高品質かつサステナビリティに配慮した、プレミアムビーフの生産・処理加工・販売をしています。

  • Creekstone
  • Rangers Valley
  • Rangers Valley(空撮写真)
方針

丸紅グループは、食の安全性の追求、高品質かつサステナビリティに配慮したプレミアムビーフの取り扱い拡大を目指し、以下方針のとおり取り組みます。

1. トレーサビリティの確保
グループの牛肉関連事業では、農場・肥育場の牛群までのトレーサビリティを確保します。また輸入牛肉についても、農場・肥育場の牛群までのトレーサビリティを目指します。

2. 環境負荷低減への取り組み
グループの牛肉関連事業では事業が環境に及ぼす影響を定期的に確認し環境負荷低減を目指します。

3. アニマルウェルフェアと食の安全に関する取り組み
自社牛肉の生産にあたっては、食の安全性確保に加え、アニマルウェルフェアに配慮した事業運営を行います。

  • ブラックアンガス牛(Creekstone写真提供)
  • ブラックアンガス牛(Rangers Valley写真提供)
取り組み事例

1. トレーサビリティの確保に向けた取り組み

グループの牛肉関連事業で調達する生体牛について、Rangers Valleyでは1頭ごとに出荷農場まで、Creekstoneでは肥育場の牛群までのトレーサビリティを確保しております。また、当社が買付ける輸入牛肉については、出荷農場、もしくは肥育場の牛群までのトレーサビリティ確保を目指します。

出荷頭数とトレーサビリティ

頭数 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年
Rangers Valley 58,859 54,147 56,615 50,968 53,380
Creekstone 297,075 338,782 447,573 489,408 525,296
トレーサビリティ
Rangers Valley:1頭ごとに出荷農場まで
Creekstone:肥育場の牛群まで
100% 100% 100% 100% 100%

牛肉(穀物肥育)のサプライチェーン図

牛肉のサプライチェーン図

豪州で肥育事業を行うRangers Valleyでは、「全国家畜識別制度(National Livestock Identification System)」※2に基づいて、肥育牛のトレーサビリティを確保しています。全頭に電子の個体識別耳標(RFID)を装着し、個体の出生・飼養履歴を把握しています。また約400戸以上の繁殖農家、育成農家とも緊密な関係を築き、遺伝情報・出生記録を把握した上で生体牛を調達します。Rangers Valleyは、個体管理とトレーサビリティの確保によって食の安全性を重視した牛肉を供給します。

2 オーストラリアの家畜の識別とトレーサビリティのためのシステム

2. 環境負荷低減に向けた取り組み

<Rangers Valleyでの取り組み>
ライフサイクルアセスメント(LCA)を活用し、事業が環境に及ぼす影響を確認しています。また飼料設計や給餌・肥育方法等を自主的に見直すことで効率よく増体させることを目指します。継続的に肥育事業における環境負荷の低減化を意識して参ります。

<Creekstoneでの取り組み>
工場の排水を再利用し生体牛係留場の洗浄水にするなど取水量削減に取り組んでいます。

両事業を通じ継続して環境負荷低減の取り組みを進めて参ります。

3. アニマルウェルフェアと食の安全に関するその他の取り組み

<Rangers Valleyでの取り組み>
Rangers Valleyでは、食の安全性を確保するために健康な牛を肥育することに取り組んでおります。具体的には、自社で調達した植物由来の飼料原料を肥育牛の成育段階別に自社配合し、成長ホルモン剤を使用せずに肥育しております。また飼料主原料サプライヤーに対しては“Commodity vendor declaration”(宣誓書)の提出を義務付けるなど、飼料原料の安全性の確保も重要視しています。

<Creekstoneでの取り組み>
Creekstoneでは、“Creekstone Natural Black Angus Beef”という成長ホルモン剤、抗生物質、動物由来飼料を一切使用せずに育てた牛肉を提供するUSDA(アメリカ農務省)認証プログラムを設け、市場のニーズに対応しています。当プログラムは、第三者認証機関であるHFAC(Humane Farm Animal Care※3)より、2015年9月から“Certified Humane”認証を取得しています。

Creekstoneの生体牛係留施設は、米国における動物福祉の第一人者であるテンプル・グランディン博士の意見を参考に生体牛のストレスを軽減する設計とした、米国では稀な屋内型の係留施設です。直射日光を避け施設内温度を一定に保つ効果が期待され、外壁を設けることで外部ストレスの少ない環境を保持することが可能です。

Creekstoneでは、業務上生体牛と関わりのある全社員がアニマルウェルフェアに配慮した業務を行えるよう、Intertek Alchemy社とNorth American Meat Instituteが動物取扱者のために特別にデザインしたアニマルウェルフェアに関する一連の研修を年に一度、e-Learningにて実施しています。

3 Humane Farm Animal Care: 米国の動物愛護基準に基づいて飼育された肉、乳製品、卵、家禽の認証、およびラベル付けプログラム“Certified Humane Raised&Handled”を促進・管理するために設立された非営利団体

Rangers Valley Cattle Station Pty, Ltd.のHPはこちら

Creekstone Farms Premium Beef LLCのHPはこちら

CreekstoneおよびRangers Valleyその他丸紅グループが取り扱う牛肉・豚肉についての詳細はこちら

環境に配慮した水産物調達の取り組み

丸紅グループでは、水産資源と環境に配慮して獲られた天然の水産物の証であるMSC認証※4、および責任ある養殖により生産された水産物の証であるASC認証※5・BAP認証※6を受けた水産物の調達に取り組んでいます。
事業会社での認証水産物の取扱い状況は以下の通りです。

水産物調達パフォーマンスデータ

Danish Salmon A/S 陸上養殖サーモン水揚げ数量とASC認証取得比率

2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
水揚げ数量(トン) 1,010 1,170 1,100 867 938
ASC認証取得比率 100% 100% 100% 100% 100%

Eastern Fish Company 仕入数量におけるMSC、ASC、BAP認証取得比率

2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
仕入数量(トン) 36,078 40,277 37,853 40,354 32,996
認証取得数量(トン) 24,577 28,021 28,596 29,544 26,967
認証取得比率 68% 70% 76% 73% 82%

4 MSC:Marine Stewardship Council(海洋管理協議会)によって運営されている、世界の水産資源を守るための持続可能な漁業に対する認証制度。

5 ASC:Aquaculture Stewardship Council(水産養殖管理協議会)によって運営されている、環境と社会に配慮して生産された責任ある養殖水産物に対する国際的な認証制度。

6 BAP(Best Aquaculture Practices):世界水産物連盟(Global Seafood Alliance)によって運営されている、環境と社会に配慮して生産された責任ある養殖水産物に関する国際的な認証制度。

繊維関連事業・環境に配慮した繊維原料調達の取り組み

環境配慮型繊維原料の取扱拡充

近年、世界のファッション市場においてサステナビリティの潮流が浸透しつつあり、生産者から消費者に至るまで、その意識は向上しています。
こうした背景を受け、サステナビリティに資する取り組みの一つとして、丸紅は環境配慮型繊維原料の取扱拡充に取り組んでいます。
GOTS認証を取得したインドのオーガニックコットンについては、引き続き安定的な調達と供給を行っていきます。
また、2019年に出資した米国Circ社の繊維リサイクル技術を活用し、綿・ポリエステル製品から再生したポリエステル原料、セルロース繊維原料の供給を2023年度から開始いたしました。同取り組みについては丸紅の有するグローバルネットワークとの掛け合わせにより、再生繊維原料供給にとどまらず、米州・欧州、そして今後の有望な市場であるアジアにおいて、グローバルな循環型サプライチェーンの構築を目標として取り組んでいきます。

Circ社における詳しい取り組みはこちら

オーガニックコットン調達

丸紅は、インドの紡績企業と提携し、オーガニック綿糸を国内外の織・編工場に供給しています。
同社は、有機認証を持つ農地、ジニング(綿花の収穫後に種と繊維を切り離す作業)工場を選定し、GOTS認証を取得した原綿を仕入れており、同社もまたGOTS認証を取得していることから、当社が取り扱うオーガニックコットンは100%トレーサブルとなっています。

オーガニックコットン調達パフォーマンスデータ

  2020年度 2021年度 2022年度
OGC取扱量(トン) 1,162 1,947 772
綿取引全体に占める割合 10% 20% 15.2%
トレーサビリティ 100% 100% 100%
GOTS認証 100% 100% 100%

ベトナムにおけるステークホルダーエンゲージメント

2023年12月、丸紅とSIMEXCO DAKLAK LTD. (以下、SIMEXCO)は、両社が携わるコーヒー豆サプライチェーンの更なる価値向上を目指し、ESGの観点から双方の取り組みについてステークホルダーエンゲージメントをベトナムで実施しました。営業部に加え、両社のサステナビリティ担当部も参加し、これまでの取り組みへの相互理解を深めるとともに、温室効果ガスの排出削減等の気候変動・環境課題、強制労働及び児童労働の排除や労働安全衛生及び労働者の基本的権利確保等の国際的に顕著な社会・人権課題への対策の重要性を確認し、今後の注力事項などについて議論しました。

当社とSIMEXCOは、生産現場である農園や工場その他の生産段階で関わるすべての農家や従事者の方々も同じバリューチェーンに携わる重要なステークホルダーであると認識しています。今回も、上述のエンゲージメントに先立ち、実際に農園と工場に赴き、従事者の方々と直接対話を行いました。SIMEXCOは、こういったステークホルダーとの対話から得たニーズも踏まえ、例えば医療物資や作業服などの提供等、生活水準やウェルビーイングの向上に貢献できる支援も行っています。

当社は、今後もSIMEXCOと連携し、持続可能かつエシカルなコーヒーのバリューチェーン構築に取り組んでいきます。

その他の丸紅グループにおける取り組み

<edishでの取り組み>

当社は、食品廃材を原料とし、何度でも生まれ変わることができる“循環型食器”『edish(エディッシュ)』の計画立案においてLCAを活用しました。

具体的なLCAの活用方法に関する説明及びedishに係る取り組みはこちら

上記事業を通じ、継続して環境負荷低減の取り組みを進めて参ります。

イニシアティブへの参加

Sedex

丸紅の事業会社であるイグアス社、丸紅食料株式会社は、コーヒーを中心とした飲料原料の取引について、「Sedex」※7のプラットフォームに参加し、サプライチェーンにおいて、取引先と「人権の尊重」、「労働安全衛生」、「環境負荷の低減」、「品質保証」等について協働しています。

7 Sedex:グローバルサプライチェーンの労働条件の改善に取り組む、世界的なコラボレーションプラットフォーム。

EcoVadis

丸紅米国会社、同・欧州会社傘下のMarubeni International (Europe) GmbH、事業会社(丸紅インテックス株式会社・丸紅テクノラバー株式会社)では、「EcoVadis」※8に加盟しています。
丸紅グループは、持続可能なサプライチェーンの構築やリスクマネジメント強化に取り組み、倫理的な事業慣行を拡大していきます。

8 EcoVadis:企業の社会的責任(CSR)評価サービスを提供する、グローバルなクラウドベースのSaaSプラットフォーム。

RSPO

パーム油の持続可能な調達をするべく、丸紅株式会社は2015年よりRSPOに加盟し、認証油の取り扱いに努めております。

ISCC認証(国際持続可能性カーボン認証。International Sustainability & Carbon Certification)

丸紅株式会社、丸紅米国会社、丸紅欧州会社、丸紅アセアン会社、丸紅プラックス株式会社、丸紅ペトロリアム株式会社、Marubeni Energy Europe Limited(以下、当社グループ7社)は、温室効果ガス(GHG)削減、持続可能な土地利用、生物多様性の保護、社会持続性向上等に配慮した、サプライチェーンにおけるバイオマス(燃料、農産品、森林原料、廃棄物および残さ、非生物バイオマスおよびリサイクルカーボン材料)の持続可能な生産を促進する認証であるISCC認証を取得しています。
当社グループ7社は、ISCCの最新の規定に則り、ISCC要求事項に準拠することを約束し宣言します。

丸紅株式会社