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水マネジメント

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丸紅の水マネジメントをご紹介します。

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環境水マネジメント

方針

水資源に対する認識

地球上の水資源のうち、約97.5%は海水であり、農業用水や飲料水として利用できる淡水は2.5%に過ぎないといわれています。その淡水の約99%は南極などの氷で、私たちが直接使用できる淡水は、極めてわずかです。
丸紅は、世界各国でビジネスを展開する中で、先進国がこの限りある水資源を満喫する一方で、井戸さえ満足に掘られていない国があるなど、水資源の地域的な偏りは大きな問題だと認識しています。世界人口の増加や途上国の経済発展に伴う将来的な水不足が危惧されています。水資源の有効活用は世界的な課題であり、国際社会の動きも活発化しています。

水資源に関する方針

丸紅グループは、「丸紅グループ環境方針」に基づき、水を含めた資源やエネルギーの有限性を認識し、その効果的かつ効率的な利用に取り組んでいます。
「丸紅グループ環境方針」には、水を含めた資源、エネルギーを効率的に活用する旨を明確に記載しており、事業活動における水の効率的使用やリサイクルの促進を通じた水の使用量削減、上下水道運営や発電に伴う造水事業を通じた水資源の安定供給等により、環境や地域社会に貢献し、水に関わる社会課題の解決に引き続き取り組んでいきます。

取り組み

丸紅グループの水の管理計画の策定状況

2023年3月末現在、丸紅グループの事業会社216社のうち、18%にあたる39社が水の管理計画を策定しています。
(事業拠点としては、サステナビリティ情報調査で把握している2,395拠点のうち、12%にあたる290拠点で水の管理計画を策定しています)。
取排水量、リサイクル量、排出時の水質や水温等を管理するとともに、水資源の有効活用や、環境負荷の低減化に取り組んでいます。
例えば、興亜工業(株)では、省資源の取り組みとして、生産過程で用いる水資源の効率的な利用を行っており、清水の使用量を各部門毎に基準値を定め、管理しています。工場での抄紙には大量の水を必要とするため、工業用水と井戸水を併用し、それぞれの製造工程で循環利用し、必要量の水を確保しています。なお、最終排水はすべて活性汚泥槽で分解、浄化処理することでCOD(化学的酸素要求量)、BOD(生物化学的酸素要求量)など厳しい水質基準をクリアしています。

興亜工業の取り組みはこちら

また、日清オイリオグループ(株)では、2031年3月期に日本国内の生産拠点(4ケ所)における用水(上水、工業用水)の使用量原単位について、2017年3月期対比16%削減を目標に削減活動及び進捗管理を実施しています。

日清オイリオグループの取り組みはこちら

水ストレス地域での取り組み

  • Taweelah B
  • Taweelah B
    Taweelah B発電造水事業

丸紅は、渇水地域である中東(以下、同地域)において、4件の発電造水事業と1件の造水事業を展開しており、丸紅が運営する海水淡水化設備からの造水日量は総計539百万英ガロンに上り、同地域の水ストレスの軽減に貢献しています。
例えば、アラブ首長国連邦におけるタウィーラB発電造水事業案件では、アブダビ市より北東約80kmのタウィーラ地区に、出力200万キロワットの発電設備と日量160百万英ガロンの海水淡水化設備を建設・運営しています。
丸紅は、経済発展と人口増によって増大している水需要を満たすべく、エミレーツ水電力公社(EWEC)に対して20~25年間にわたり売電・売水を行なっています。
水は水道(住宅・商業)用水、農業用水、工業用水等に利用され、所在地域の水ストレス緩和に貢献しています(尚、当社事業で使用する機器冷却用水等は、海水を利用するため、所在地域の水ストレスを悪化させるような影響はありません)。

中東における発電造水事業及び造水事業(2023年3月末時点)
プロジェクト Gross造水日量(百万英ガロン/日)
Taweelah A2 50
Taweelah B 160
Fujairah F2 130
Shuweihat S2 100
Shuqaiq 3 99

水使用量の削減に向けた外部との協働

チリでの造水・送水事業

当社は、チリ共和国の大手送電事業者であるTranselec Holdings Rentas Limitadaと共に出資参画する特別目的会社を通じ、チリ・国営銅公社(Corporación Nacional del Cobre de Chile、以下、「CODELCO」)向け造水・送水事業(以下、「本プロジェクト」)に参画しています。

チリ共和国・国営銅公社向け造水・送水事業の長期売水契約に関する融資契約締結ならびに着工について詳細はこちら

本プロジェクトは、チリにおける初の逆浸透膜(RO膜)方式※1の大型海水淡水化・送水プロジェクトです。チリ西部の太平洋の海水を汲み上げて淡水化するプラントを建設し、銅鉱山の採掘などに必要な水を供給するもので、水資源不足が懸念される水ストレス地域からの取水量削減に貢献します。

1 塩類等を含む水を、浸透圧現象を利用しRO膜に透過させる造水方式

CODELCOは現在も銅鉱山開発・銅精製プロセスに使用する水の全量を地下水等の内陸水に依拠しているものの、環境保護や地域住民への水資源の確保、及び持続的な成長を重視し、2030年までに内陸水消費量を60%削減する目標を掲げており、本プロジェクトはこの目標に資するものです。当社は、これまでの海水淡水化プラントの建設、保守・運転の実績を活用し、CODELCOと協働して本プロジェクトに取り組むことで、水使用量削減に貢献します。

都市向け上下水サービスへの取り組み

丸紅は都市向け上下水サービスの分野でも、コンセッション事業※2やBOO事業※3等を通じて、都市住民への安全な飲料水の供給と下水処理による環境負荷の低減に貢献しています。

チリ、ブラジル、フィリピン、ポルトガル、ペルーで運営するコンセッション事業やBOO事業等でのサービス対象人口は合計約1,660万人を数え、浄水処理能力は合計日量約4,220千㎥、下水処理能力は合計約1,900千㎥となっています。

2 コンセッション事業;自治体から水道事業権を付与された民間水道事業会社への投資と運営

3 BOO: Build Own and Operate。プラントの建設、維持管理・運営

フィリピンにおけるコンセッション事業
  • Maynilad
    Maynilad社浄水処理場
  • Maynilad
    Maynilad社、給水の様子

丸紅が運営するコンセッション事業の一例として、フィリピン国マニラ首都圏の西地区にて、人口1,046万人を対象に上下水道事業を運営するMaynilad Water Services, Inc.(Maynilad社)への出資・人員派遣を行っています。

都市の拡大と過密化が続く中、水道管ネットワークの拡張による普及率の向上に加えて、水道管の漏水対策と水圧改善による水資源利用の効率化を推し進めることで、域内の各顧客(152万世帯)への水道の安定供給に継続的に取り組んでいます。
これと並行して、現在は低位にある下水道普及率の引き上げを中長期課題と位置付け、域内での下水処理場・下水道ネットワークの整備を通じ、平時・洪水時の衛生環境の改善、域内水系・マニラ湾の水質改善に取り組んでいます。

Maynilad社では、災害や異常気象による施設の物理的ダメージ等により、事業拠点が機能しなくなった場合の影響を定量化しています。具体的には、浄水場やポンプ場、配水ネットワーク等、Maynilad社のオペレーションに重要な事業拠点を複数サンプル抽出し、操業停止期間毎の経済的インパクトを試算し、事業継続計画の策定に活用しています。

Maynilad社の事業概要(2023年3月末時点)
処理施設 処理量
浄水場 2,700千㎥/日
下水処理場 663千㎥/日
浄化槽汚泥処理場 1,190t/日
カタールにおける下水処理
  • Doha West下水処理場
    Doha West下水処理場
  • Lusail下水処理場・ポンプ場
    Lusail下水処理場・ポンプ場
  • Lusail下水処理場・処理後の貯水池
    Lusail下水処理場・処理後の貯水池

また、人口約270万人を擁するカタール国の首都ドーハの主要下水処理場であるDoha West・Doha North・Lusailの各下水処理場について、丸紅は建設段階から参画し、うちDoha West・Lusail処理場については、建設後約10年間の運転保守管理業務を遂行しました。下水の処理過程において生成される中水(下水を殺菌・消毒し工業用や民生用として使用される処理水)は、中水管ネットワークを通じ日々ドーハ各所の道路沿いの植生や公園、農園等に提供され、砂漠の地ドーハの社会インフラ基盤を支える重要な役割を担い、貴重な水資源のリサイクルを通じ渇水地域へのサステナブルな活動に貢献しました。

各下水処理場の日量処理量は下記の通りであり、日量385千㎥の中水をドーハ各地に供給しました(2023年3月末時点)。

当社関与のカタール下水処理場 下水処理量
Doha West下水処理場 340千㎥/日
Doha North下水処理場 439千㎥/日
Lusail下水処理場 60千㎥/日
取り扱い計 839千㎥/日

イニシアティブへの参加

CDP Water Security

CDPの水セキュリティ対策においてAリストに選定

当社は、国際環境非営利団体CDP※4より、水セキュリティ対策においてAリスト企業に選定され、コーポレートサステナビリティにおける先進企業として認定されました(2024年2月現在)。2021年に続き、3度目の選定となります。
また、気候変動及び森林分野においても、それぞれA-を取得しました。

2023年のCDP Water Securityへの回答内容はこちらをご覧ください。

2023年のCDP Aリストならびに他の公開スコアは、こちらをご覧ください。

4 国際環境非営利団体CDP:
CDPは、企業や自治体を対象とした世界的な環境情報開示システムを運営する国際環境非営利団体です。当社は2007年より回答しています。CDPは資本市場と企業の購買力を活用することで、企業が環境影響を開示し、温室効果ガスを削減し、水資源や森林を保護することを促進する取り組みを先導してきました。現在では136兆米ドル以上の資産を保有する740を超える署名金融機関と協働しています。2023年には、世界の時価総額の3分の2に相当する23,000社以上、そして1,100以上の自治体を含む、世界中の24,000を超える組織がCDPの質問書を通じて環境情報を開示しました。CDPは、TCFDに完全に準拠した世界最大の環境データベースを保有しており、CDPスコアはゼロカーボンで持続可能な強靭な経済の実現に向けて投資や調達の意思決定を促すために広く利用されています。CDPは、科学に基づく目標イニシアティブ(SBTi: Science Based Targets initiative)、We Mean Business連合、機関投資家の気候変動対策推進イニシアティブ(The Investor Agenda)、ネットゼロ・アセットマネージャーズ・イニシアティブ(NZAMI: Net Zero Asset Managers Initiative)の創設メンバーです。

丸紅株式会社