事例紹介

観光ビジネスをふるさと納税で促進する「ふるさtoらべる」
徹底したスピード意識が生み出した異例のサービス拡大

READ MORE
事例紹介

観光ビジネスをふるさと納税で促進する「ふるさtoらべる」 徹底したスピード意識が生み出した異例のサービス拡大

Back to Index

CHECK POINT

  • 「ふるさtoらべる」は観光施設における現地でのふるさと納税活用を実現
  • 徹底的にスピードを追求し使いやすく広がりやすいサービスを展開
  • 全国に広がるネットワークは今後の観光事業の拡大にも寄与

国内観光業×ふるさと納税で地方創生

2008年に開始したふるさと納税制度は、2011年の東日本大震災以降急速に利用者が増加し、年々その規模も大きくなっている。2023年度には利用者が1,000万人を超え、自治体への寄附総額は1兆円を突破するなど、制度としてかなり浸透してきたと言えるだろう。

ふるさと納税制度は北海道のように地域の特産品がある自治体で使われるケースが多いが、観光資源を有する自治体にもその活用先を広げることができれば、より多くの地域が制度のメリットを得られるはずだ。どうすれば、ふるさと納税の制度を活用しながら観光業を後押しし全国の自治体を活性化できるのか──これまで脱炭素やDXなどさまざまなアプローチから社会課題の解決や地方創生に取り組んできた丸紅は、この問いに応えるべく宿泊費などの決済をふるさと納税の制度に組み込むサービス「ふるさtoらべる」を立ち上げた。

ふるさtoらべるは、旅館やゴルフ場をはじめとした観光施設において、現地で手間なくふるさと納税を活用できるポータルサイトだ。利用者はポータルサイト上で寄附先施設のふるさと納税プランを選び、寄附の決済を行うとその場ですぐ返礼品として電子クーポンを受け取れる。あとは施設のフロントで電子クーポンを提示すれば、宿泊代やその他の料金に充てられるというわけだ。現在は旅館を中心に全国約400の施設で導入されており、2025年3月までに1,000施設までの拡大が計画されている。

わずか2カ月でローンチする脅威のスピード感

丸紅が本サービスを立ち上げるうえで重視したのは、なによりも「スピード」だった。サービス方針の決定からわずか2〜3カ月でウェブサイトを立ち上げており、外部の協力会社と柔軟にコミュニケーションをとっていったことでこのスピードが実現したという。結果として、他社が同種のサービスを展開するより早く事業を拡大させ、より大きな広がりを生み出すことに成功している。

このスピード感や柔軟性は、サービスの立ち上げだけでなく、ふるさtoらべるそのものの特徴でもある。たとえばUI/UXの観点から見ても、現地での利便性を優先するために会員登録のプロセスを廃し、わずか3分で寄附を行えるようになっているのはユーザから見れば大きなメリットだ。こうしたプラットフォームサービスでは会員制システムをつくり個人情報を収集することが一般的だが、ふるさtoらべる単体でユーザの囲い込みを行わないという判断が、異例の利便性につながっている。

さらに2023年10月には一般社団法人日本旅館協会と連携協定を締結することで、対象施設の拡大もさらに加速中だ。同協会には全国約2,500の旅館が所属しているだけでなく、各地の温泉組合や観光協会とのネットワークも有しているため、この連携は2,500という数字以上の広がりを意味している。この連携は一朝一夕で実現したものではなく、全国各地の旅館やその会合に足を運び毎日数十件の施設とやりとりを続けてからこそ生まれたものだという。とりわけコロナ禍以降はオンラインツールを使った商談も一般化したが、デジタルでもつながれる時代だからこそアナログで泥臭いアプローチが大きな成功へつながった好例と言えそうだ。

丸紅の培った信頼とつながりが事業を加速させる

こうしたスピード感の実現には、丸紅という企業のブランドイメージも大きく寄与している。無名のスタートアップが同じことを行うならば信頼を獲得するために説明コストがかかってしまうが、丸紅は歴史や伝統をもつとともに、全国各地で事業を展開しているため独自のネットワークを有してもいる。加えて、モビリティや発電、アパレルなど多種多様な領域に関わっているため、イメージが偏らずにさまざまなプレイヤーとコラボレーションを行えることも大きな強みと言えるだろう。

ふるさtoらべるは国内の観光客を対象としたサービスだが、近年はインバウンドの盛り上がりも高まっており、今後も観光業全体の成長は続いていくと考えられている。もちろん、こうした成長を後押しするうえでは、ふるさtoらべるだけではない新たな事業も必要になっていくだろう。

観光事業への進出を考えていくうえで、ふるさtoらべるが築き上げたネットワークは大きな意味をもつはずだ。しばしば「DX」や「デジタル・ソリューション」というとAIやIoTを活用した先端的で高機能なサービスが想起されてしまうが、それだけがデジタルテクノロジーの使い方ではない。ふるさtoらべるからは、紋切り型のDXとは異なる柔軟なデジタル活用の可能性が見えてくるだろう。

Back to Index

Get in Touch

お問い合わせや資料請求はこちら