事例紹介

ファッションを楽しむメタバース「WEAR GO LAND」
日常を過ごしたくなるファッション体験の場を創出

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ファッションを楽しむメタバース「WEAR GO LAND」 日常を過ごしたくなるファッション体験の場を創出

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CHECK POINT

  • ファッションメタバース「WEAR GO LAND」の実証実験が始動
  • メタバースというツールを用いてブランドと消費者の課題へアプローチ
  • より多くのブランドを巻き込み横断的プラットフォームへの成長を構想

メタバースでアパレル産業のフロンティアへ

2021年、Facebookが「Meta」へ社名を変更したことは世界的に大きな話題を呼んだ。VR/AR技術が発展しMeta Questのようなデバイスも徐々に広がっていくなかで、「メタバース」はバズワードとなった。バーチャル空間の活用への期待も高まり、多くの領域でさまざまな取り組みが進んでいる。

アパレル産業も、例外ではない。3DCADなどを通じたものづくりのデジタル化が徐々に進んでいくと同時に、コミュニケーションのあり方や商品の届け方も変わっていき、メタバースの活用に取り組む企業も登場している。長年にわたってアパレル産業の製造や流通に携わってきた丸紅もまた、近年メタバースへの進出を試みている。

そんな動きを象徴するプロジェクトが、丸紅の立ち上げた次世代デジタルファッションモール「WEAR GO LAND」だ。まさにMetaが誕生した2021年から丸紅の中でライフスタイル分野におけるDX戦略の検討が開始され、ファッションブランドや消費者が抱えている課題の解決を模索する中で、2022年からメタバースを活用した実証実験の検討に舵を切り、2024年4月に期間限定で公開された。

ファッションの購買体験をめぐる消費者課題へ対応

InstagramなどSNSを使ったマーケティングが一般化し、新たな消費者との接点づくりを求めるブランドが存在する一方で、既存の購買体験において課題を抱えている消費者も少なくなかった。たとえば普段は店舗を訪れて商品を買っているものの店員とのコミュニケーションに苦手意識をもっていたり試着を面倒に思ったりする人は少なくなく、また大都市に住む人でなければ興味のあるブランドを扱う店舗が近隣にないことも多い。あるいはこれまでも指摘されてきたように、Eコマースにおいてはオンラインのイメージと現物のギャップなどの懸念により、Eコマースでは洋服を買いたくないと考える人も多かったはずだ。

こうした課題にアプローチするひとつの方法が、メタバースだった。時間と空間の制約を排除しどこからでも参加できると同時に、3D空間での表現を通じて従来のEコマースよりも深くブランドや商品について知ることも可能だ。

しかし、その道程は簡単なものではなかった。メタバースについて丸紅社内に深い知見があるわけではなく、そもそも先端的な領域であるがゆえにパートナーの選定も慎重にならざるをえない。丸紅はリサーチや情報収集を重ね、専門的な知見をもつ外部パートナーとの協業に踏み切った。

横断的体験を生むライフスタイルプラットフォーム

メタバースへの進出を進めるファッションブランド自体は存在するものの、「WEAR GO LAND」が標榜するデジタルファッションモール構想はまだ同種の取り組みが見られないものでもある。単にメタバース上で洋服を見たり買えたりするだけではなく、ブランドエリアやランウェイエリア、コーディネートワールド、フォトブースエリアなど複数のコンテンツを通じてさまざまな体験を提供していることが特徴と言えるだろう。メタバースというフォーマットの特性を活かし、今後はさらなるコンテンツの追加も構想されている。

2024年4月に行われた実証実験では「X-girl」、「9090」、「louren」の3ブランドが出店し、女性ファッションメディアとコラボレーションしたバーチャルファッションショーやリアルタイムで交流可能なイベントも実施。コラボレーションイベントでは、10〜30代女性から多くの反響が得られた。

もっとも、「WEAR GO LAND」はまだ実証段階にあることも事実だ。現在は次のステップに向けた実証実験を計画しており、参加ブランドの拡充や、ユーザ同士の交流や継続利用を促すための仕掛けづくりにもトライしていくことを検討しているという。

丸紅が本プロジェクトの先に見据える将来像は、ファッションに留まらず消費者へさまざまな体験をもたらす総合ライフスタイルプラットフォームだ。ファッションと親和性があるスポーツやエンターテインメントなど、外部プレイヤーともコラボレーションしながら横断的な体験が生み出されていく可能性も見据えているという。

現在は生成AIブームによって相対的にメタバースへの注目度が下がっていると指摘されることもあるが、通信技術やハードウェア、ソフトウェアの発展が進むと同時に、法整備などルールメイキングが変わっていくことで、メタバースの体験は大きく変わり再び注目度が高まっていく可能性を秘めている。これまで長年にわたってファッション業界におけるビジネスに取り組んできた丸紅だからこそ実現したこのプラットフォームは、近い将来、新しい生活体験を生む場へと進化していくのかもしれない。

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