社員インタビュー

総合商社がアメリカの伝統産業に変革を起こす?
「資産」としてのデータ活用がもたらすインパクト

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社員インタビュー

総合商社がアメリカの伝統産業に変革を起こす?「資産」としてのデータ活用がもたらすインパクト

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CHECK POINT

  • 現地採用でアメリカのグループ企業に対しDXを支援
  • 「資産」としてのデータがもつ価値は高まっていく
  • 伝統的なビジネスセクターにこそ変革のチャンスがある

アメリカに展開するグループ会社のDXを推進

──リンジーさんは2019年に丸紅に入社し、現在はニューヨークのデジタル・イノベーション部で働かれています。なぜ日本の総合商社である丸紅に入社されたのでしょうか。

リンジー・ムーア(以下、リンジー) 私はスタンフォード大学で物理学の博士号を取得したあと、生物学者や医師の方々と協力しながら、海外の大学で大規模なデータセットを分析して臨床研究の理解を深めるサポートを行っていました。当時の仕事はワクチンの免疫反応を解き明かすことだったのですが、利用可能なデータを用いて人々の意思決定を支援するという意味では、2019年に入社して以降、丸紅で取り組んでいるビジネスにもつながっていると思います。現在は市場データや売上データ、メンテナンスデータをビジュアライズして分析し、より効率的にビジネスを進められるようサポートしています。

──具体的にはどのようなプロジェクトに携わっているのでしょうか。

リンジー デジタル・イノベーション部の立場からアメリカの丸紅グループ企業と連携を進めながら、各企業のデジタル成熟度を評価し、DXを推進していくロードマップを策定しています。将来的にはAIなどの技術を活用して各企業のビジネスプロセスを改善していきながら、それぞれのグループ会社のなかでAIプロジェクトを発展させていき、広範なプロジェクトの課題を解決していきたいですね。

画像:Lindsay

データこそがこれからのビジネスの「資産」

──アメリカのさまざまなグループ企業と関わるなかで、丸紅の強みや魅力を感じられることはありますか?

リンジー 総合商社の資産とは「情報」だと感じます。つまり、豊富なデータを有しているということです。ビジネスのノウハウと膨大なデータを組み合わせることで、あらゆるビジネスでイノベーションを生み出していけるのではないかと思っています。それこそがデジタル・イノベーションの王道であり、丸紅がもつ価値のコアにもなっていくのではないでしょうか。

──デジタル・テクノロジーの活用において心がけていることはあるでしょうか。

リンジー 私たちは個々のプロジェクトにデジタルアプリケーションやソリューションを実装していくことがDXなのではなく、データを資産として活用することこそが重要だと考えています。データ活用が進めば進むほど、ビジネスも効率化されていきますし、意思決定も加速し、収益性も向上していきます。「データ」とは「事実」のことだと私は考えています。意思決定のために事実を無視するよりも、事実を利用した方が大きなインパクトを生み出せるのは当たり前だと言えるかもしれません。

──DXに取り組むうえで課題を感じられることはありますか?

リンジー システムやソリューションの開発というよりは、データをビジネス上の資産と捉える考え方の転換が大きなカギになっています。効果的な分析を行うためにはきちんと整理されたデータが必要になりますが、現在はグループ企業がそれぞれデータを管理している状況にあり、なかには不備やノイズが解消されないままデータが蓄積されていることも少なくありません。収益を上げるために必要不可欠なデータ収集プロセスを優先的に構築していく必要があると感じますね。

総合商社の知見はアメリカでこそ輝く

──今後アメリカでのビジネスを展開していくうえで、リンジーさんはどんな領域に注目されているでしょうか。

リンジー やはり生成AIには注目していますね。データベースやファイルのなかに含まれるテキストデータのなかにはこれまで分析できなかったものもたくさんあるのですが、LLM(大規模言語モデル)のような生成AIの発展によって、さまざまなテキストデータも分析へ組み込めるようになりました。今後はますます多様なデータを活用できるようになっていくはずです。

──ビジネス上のインパクトも大きくなっていきそうですね。

リンジー アメリカの丸紅グループは、自動車から農業、畜産業、航空宇宙業など、アメリカのなかで最も伝統的なビジネスセクターへ深く入り込んでいます。こうした領域では、丸紅のように数十年に及ぶ経験に基づきビジネスを深く理解するとともに、統合的にビジネス戦略を展開できる存在が大きなインパクトを生み出しうるはずです。さまざまなビジネスを展開している丸紅だからこそ、今後の社会やビジネスを考えるうえで必要不可欠なDXの実現に取り組んでいけるのではないでしょうか。

──リンジーさんは今後どんな領域に挑戦していきたいですか?

リンジー 個人的には、企業の活動に関する市場調査と市場データの重要性に関心をもっていて、B2B企業の経営に市場データを組み込む方法について考えています。各領域の健全性を定量化するためには、企業が外部データを組み込んでいく必要があります。たとえば競合他社やそのマーケティングキャンペーンを調査・分析することは自社の取り組みをより精緻化していくうえで重要ですし、他社の動向からデータ主導で意思決定を行う重要性を証明することもできるでしょう。あるいは、顧客のニーズや嗜好を理解することでより効率的なマーケティングも進められます。効果的な市場調査をマーケティング戦略につなげていくことで、私たちの成長も加速しますし、より社会や市場に適合した施策を打ち出していくことも可能となります。今後はいくつかの企業でこうしたデータの組み込みを自動化していく方法を模索していきたいですね。

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